コーチング市場の動向に関するレポート(2021年版)

パーソナルコーチング
  1. コーチング市場の市場規模
    1. 米国のビジネスコーチング市場(2019年)
    2. 日本のコーチング市場(2019年)
  2. コーチング市場の定義
    1. コーチを育成するスクールを運営する企業(上流工程)
    2. 個人および企業にコーチングサービスを提供する企業(下流工程)
  3. コーチング市場のPEST分析
    1. Politics(政治的要因)
    2. Economy(経済的要因)
    3. Society(社会的要因)
    4. Technology(技術的要因)
  4. コーチング市場の5F(ファイブフォース)分析
    1. 業界への新規参入の脅威
    2. 顧客にとっての代替製品(サービス)の脅威
    3. 売り手(供給業者)の交渉力
    4. 買い手(顧客)の交渉力
    5. 業界内の競争
  5. コーチング市場の3C分析(customer:市場)
    1. 業界の市場規模
    2. 市場の成長性
    3. 顧客ニーズ
    4. 顧客の消費行動・購買行動
  6. コーチング市場の3C分析(competitor:競合)
    1. 競合各社の現状シェアと推移
    2. 各競合の特徴
    3. 競合の業界ポジション
    4. コーチング市場のポジショニングマップの例
    5. 新規参入・代替品の脅威
    6. 自社が特に注意すべき対象となる競合企業
    7. 注意すべき競合対企業と特徴と今後想定される行動(自社への対抗手段など)
  7. コーチング市場の3C分析(company:自社)
    1. 自社の企業理念・ビジョン
    2. 既存事業・自社製品の現状
    3. 既存ビジネスの特徴、強み、弱み
    4. ヒト・モノ・カネの現有リソース、強み、弱み
    5. 資本力・投資能力
  8. コーチング市場の4P分析
    1. プレイス
    2. プロダクト
    3. プロモーション
    4. プレイス
  9. コーチング市場のまとめ
    1. コーチング市場の概要
    2. コーチング市場を需給バランスで見た場合
    3. コーチング市場を価格で見た場合
    4. コーチング市場を商材の差別化の観点から見た場合
  10. コーチング市場における今後のシナリオ
    1. 一般向けの低単価商材
    2. ビジネス向けの高単価
    3. その他

コーチング市場の市場規模

米国のビジネスコーチング市場(2019年)

  • 約150億ドル(約1兆6千億円)
  • ※調査会社のIBISワールドの2019年の調べ

日本のコーチング市場(2019年)

  • 300億円程度
  • ※コーチング大手のコーチ・エィ(東京・千代田)による

参照:参照:課題解決に柔軟思考 コーチング、米では1兆円市場(日経)

コーチング市場の定義

  • コーチングを行えるコーチをトレーニング・育成する企業。
    何らかの認定資格を伴う。
  • 企業向けにビジネスコーチングや研修を提供する企業
  • 個人向けにパーソナルコーチングを提供する企業

コーチを育成するスクールを運営する企業(上流工程)

主な企業 概要
株式会社 コーチ・エィ 1997年に、コーチ養成機関として、有限会社コーチ・トゥエンティワンを設立
2001年にコーチ・トゥエンティワンからコーチ・エィが分社化、独立
法人事業部が分社化 株式会社コーチ・エィとして独立
100名以上の プロフェッショナルコーチが在籍する世界最大規模のコーチング・ファーム
株式会社ウエイクアップ CTIジャパン 世界最大かつ最も確立されたプロコーチのトレーニングとして、62,000人以上のコーチをトレーニングしている
一般社団法人日本コーチ連盟 個人を対象とした日本コーチ連盟コーチアカデミーでは、70期に渡って毎年開講
銀座コーチングスクール 2001年に、森英樹氏が設立
運営元は、株式会社アンテレクト
拠点は全国35ヶ所にあり、講師数は77名
参照:スクール概要
特定非営利活動法人(NPO法人)トラストコーチング 2009年に、コーチエィ出身の馬場啓介氏が設立
コーチ育成と同時に、企業向けにも展開
2019年までに600名を超える認定コーチを輩出している
THE COACH Academy 2019年に、フリーランスで活躍しているUI/UXデザイナーの「こばかな」氏が設立
※昨今のコーチングムーブメントの火付け役

個人および企業にコーチングサービスを提供する企業(下流工程)

運営企業 サービス名 サービス開始 特徴 ターゲット 価格帯 レッスン分数 1セッションあたり料金 最低利用期間 体験レッスン
株式会社Spicer mybuddy 2020年 社会人 社会人 低価格 60分 ¥3000 なし なし
株式会社エヴリック P-COACH 2019年 社会人向け
企業向けの研修やコーチングがメイン
社会人 低価格 25分 ¥5000 なし 無料体験
港屋株式会社 GOODDAY 2016年 代表がコーチ・エィ出身者
エグゼクティブ向けのコーチングや企業向けの組織開発なども別事業として行っている。
社会人 低価格 50分 ¥5500 なし なし
株式会社スーペリア myPecon 2015年 代表がコーチ・エィ出身者 ビジネスパーソン 高価格 30分
45分
60分
¥3000(体験版)
¥12000(Economy)
¥16000(Business)
¥33000(Executive)
なし 無料体験レッスン
株式会社ウゴク mento 2018年 エンジェルほか、アカツキの香田哲朗氏が出資 社会人 高価格 60分 ¥5,000(エレメンタリー)
¥10,000(アソシエイト)
¥20,000(プロフェッショナル)
¥30,000(マスター)
なし ¥5000
ZaPASS JAPAN 株式会社 ZaPASS 2019年 パーソナルコーチングと、コーチング養成の2つの事業を行っている
3か月のサブスク系
ビジネスパーソン 高価格 60分 ¥8,000(コーチ)
¥15,000(プロフェッショナルコーチ)
¥30,000(エグゼクティブコーチ)
3か月(3回) 初回半額
株式会社cotree cotreeアセスメントコーチング 2014年 家入氏が2017年ころに1%だけ出資
エグゼクティブ向けや企業向け、大学生むけなどのコーチングも提供
複数のブランドを持つ
社会人
ビジネスパーソン
低価格
高価格
60分 ¥15,000(性格診断1回、コーチング1回)
¥35,000(性格診断1回、コーチング3回)
¥75,000(性格診断1回、コーチング7回)
なし マッチング診断のみ無料
株式会社MEXUS REEED 2017年 3か月・6か月・12ヶ月などのサブスク系 社会人 高価格 60分 ¥25,000(ライトコース:全6回)
-合計額:¥150,000※オンライン
¥22,500(スタンダードコース:全12回)
-合計額:¥270,000※オンライン
¥24,167(プレミアムコース:全24回)
-合計額:¥580,000※オンライン
3か月
6か月
12ヶ月
¥3000
株式会社GOAL-BB GOAL-BB 2019年 もともとジム系のコーチング事業からの水平展開中
4~8か月のサブスク系
社会人 高価格 60分 ¥30,000~
※コーチにより変動
4か月~6か月 なし

コーチング市場のPEST分析

Politics(政治的要因)

  • 〇:何かしらの労働関連の法律の改正が起きた場合に、プラスになるかもしれない
  • ✖ :国家資格などが求められるようになると、上流工程の企業にはマイナス

Economy(経済的要因)

  • 〇:コロナによる景気の悪化から、個人(労働観)としての付加価値を高める方向に動く
  • ✖ :コロナによる景気の悪化から、可処分所得がへり自分への投資が行われない

Society(社会的要因)

  • 〇:コーチングを受けるという行為自体が徐々に一般化することで潜在的な市場が拡大する
  • ✖ :いわゆる意識高い系の一時的なトレンドで終わる可能性もあり

Technology(技術的要因)

  • 〇:オンラインで実施することが当たり前になったことにより、箱ものビジネスではなくなった
  • ✖ :同時に、参入障壁が極端に下がったため、レッドオーシャンと化している

コーチング市場の5F(ファイブフォース)分析

業界への新規参入の脅威

参入障壁が低く、新規参入が非常に多い

顧客にとっての代替製品(サービス)の脅威

まだない
多くの人が、コーチングをただ受けるだけでは現実や自分が変わるわけではないに気付いたときには、そもそも「お金を払ってコーチングを受けない」という選択肢が出てくる

売り手(供給業者)の交渉力

業界構造的に、現時点では強いが、今後コーチの仕入れ先が増えた場合は、値崩れする可能性あり

買い手(顧客)の交渉力

現時点では、弱いが、今後コーチングサービスがさらに増えた場合は、強くなりうる

業界内の競争

すでに過多で、差別化も難しい

コーチング市場の3C分析(customer:市場)

業界の市場規模

2019年で300億円と言われている ※コーチエィによる見解

市場の成長性

2015年に50億だった市場が2019年に300億まで増えているとのこと
今後さらに増えるかどうかについては不明

顧客ニーズ

労働市場での付加価値を高める
個人の人生におけるQOLを上げる

顧客の消費行動・購買行動

単発でのセッションによって心理的変化はもたらされる
その心理的変化で満足する人をターゲットにしている面が少なからずありそう
実際は、行動を変え続ける必要があり、結果を出すためには、コーチが定期的に伴走する必要があるだろう
結果にコミットするために、もしトレーニング系の「コーチング」サービスになった場合に、果たして顧客が欲しがる形のサービスであるかは微妙

コーチング市場の3C分析(competitor:競合)

競合各社の現状シェアと推移

シェアは現時点では不明

各競合の特徴

ソーシャルを活用した顧客の集客戦略に一部特徴的な企業あり mentoのnote活用など

競合の業界ポジション

一般の社会人向け ⇔ ビジネス向け
低価格 ⇔ 高価格
セッションで終わる ⇔ 継続的な態度変容を促す
従量課金 ⇔ サブスク

コーチング市場のポジショニングマップの例

コーチング市場のポジショニングマップ
※縦軸に価格、横軸軸にターゲットを置いた場合

コーチング市場のポジショニングマップ
※縦軸に課金方式、横軸に提供価値を置いた場合

新規参入・代替品の脅威

新規参入は多い

自社が特に注意すべき対象となる競合企業

ビジネス志向の高価格帯か?

注意すべき競合対企業と特徴と今後想定される行動(自社への対抗手段など)

SEOよりソーシャルでの集客が有効と思われる
今後、アフィリエイトサイトでの集客が始まる(すでにmentoは開始している)

コーチング市場の3C分析(company:自社)

自社の企業理念・ビジョン

割愛

既存事業・自社製品の現状

割愛

既存ビジネスの特徴、強み、弱み

割愛

ヒト・モノ・カネの現有リソース、強み、弱み

割愛

資本力・投資能力

割愛

コーチング市場の4P分析

プレイス

セッションあたりの従量課金モデルに加え、継続してうけるサブスク課金タイプが出てきている
英会話のように何度もトレーニングするものではないため、価格を上げにくい
→今後、価格競争になり、最終的に体力がある企業のみが残る可能性あり
あるいは、より高度なビジネス志向のなどの高付加価値サービスが一時的には増える
→これによってセッション単価を高くできるため

プロダクト

厳密には、2つの提供価値があり、プロダクトにも2種類ある(が、現状混同される場合多い)
一般の社会人向け → 認知の仕方が変わる(が、行動変容までは保証しない)
※多くの一般人はこれで満足する
マネージャーなどのビジネスパーソン向け → 認知の仕方がかわり行動が変わる
※習慣化するところまでがゴール。トレーニングのため苦痛であることが多い

プロモーション

ソーシャルでの集客が特に目立つ。note、Twitter、Facebookなど
比較的意識が高いユーザーがターゲットになるため、市場規模

プレイス

ほぼ全てのサービスがオンラインで提供されている

コーチング市場のまとめ

コーチング市場の概要

現時点では、市場は拡大見込みである。ただし、万人が欲しがるサービスではない
新規参入が容易なため、競争過多になりやすく、今後も参入が続くだろう
一般人向けの認知変容のコーチングと、ビジネス向けの習慣化のコーチングの2種類がありそう

コーチング市場を需給バランスで見た場合

利用者の増大に伴い、コーチが不足するだろう
結果、上流工程にいるコーチ育成会社が儲かるだろう

コーチング市場を価格で見た場合

差別化が難しいなかで競争過多になるため、価格競争がおきるだろう
体力のない企業が撤退していき、寡占状態を招くだろう
※これは一般人向けのコーチングで起きそう → オンライン英会話市場と似た状態になるだろう

コーチング市場を商材の差別化の観点から見た場合

例えば、ビジネス寄りの高単価商材をサブスクで販売するような形態が現れ始めている
結果にコミットするタイプのコーチングが高単価商材として残る
※これはビジネス向けのコーチングで起きそう → コーチング英会話市場と似た状態になるだろう

コーチング市場における今後のシナリオ

一般向けの低単価商材

価格競争が起きた場合
持久戦となり、最終的には他事業で利益の出ている体力のある企業が残る。 例:DMM的
価格競争が起きなかった場合
集客での優位性を獲得した企業が、その後もシェアを拡大する。 例:mentoなど

ビジネス向けの高単価

結果にコミット系の高単価商材へのシフトが起きた場合
ブランドイメージの確立に成功し、一定期間赤字を耐えれる企業が残る。 例:PROGRIT的
結果にコミット系の高単価商材へのシフトが起き無かった場合
市場規模がそこまで拡大せず旧来のコーチング企業が残る。 例:コーチエィなど

その他

いずれのシナリオであっても、いったんプレーヤーが増える
結果、上流工程にいる「コーチを育成する企業」は、どのシナリオでも一定期間確実に儲かる
コーチエィに対して、低価格ポジショニングが有効。 例:THE COACH Academyなど

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