日本のフィットネス市場は年間7,100億円規模・会員数約290万人に達します。しかし、その消費者の大半が「目標達成できないまま」消えていく——この事実を、200人の独自調査が明らかにしました。
コーチム編集部は、過去5年以内にジム(一般・パーソナルを含む)を契約した200名に独自アンケート調査を実施。有効回答196名のデータを分析した結果、ジム契約者で「目標達成して卒業」できたのは、わずか9.0%。残る91%は、現在も通っているか、挫折しているか、目標未達のまま離脱していました。
米国のフィットネス参加率23.7%に対し、日本は4.5%。ただでさえジム参加率が低い日本において、参加した一握りの人々のうち、目標を達成できる人は10人に1人未満。本記事は、その業界構造を問い直す8つのデータを公開するレポートです。すべて引用自由。記事末尾に「メディア向け見出しキット」もあります。

- 1. 【サマリー】業界の常識を覆す8つの数値
- 2. 【調査概要】調査の背景と方法
- 3.【データ1】ジム契約者で「目標達成して卒業」できるのは、10人に1人未満
- 4.【データ2】ジム挫折者の73%は、ジムに不満を持っていなかった
- 5.【データ3】ジムで痩せられるかは、入会した時点で半分決まっている
- 6.【データ4】ジムにいくら払うかと、痩せられるかは、ほぼ関係なかった
- 7.【データ5】ジム挫折者の半数は、契約から180日以内に消える
- 8.【データ6】ジム選びは「50倍の偏り」がある
- 9.【データ7】ジムタイプによる「2倍近い差」
- 10.【データ8】ジム選びの後悔TOP1は、料金でも設備でもなく「混雑」
- 11. 【総括】8つのデータから見える、3つの構造的事実
- 12. 【メディア向け】そのまま使える見出しキット
- 13. 本調査について
1. 【サマリー】業界の常識を覆す8つの数値
本調査で明らかになった8つの数値を、衝撃度順に一覧で示します。
| # | キーメッセージ |
|---|---|
| 1 | ジム契約者の91%は、「目標達成」できないまま消えていく |
| 2 | ジム挫折者の73%は、ジムに不満を持っていなかった |
| 3 | 「医師の勧め」動機の人の減量達成率は87.5%、「運動不足解消」動機は49.2%(40ポイント差) |
| 4 | 月1万円以上を支払っても、4人に1人(23.1%)は痩せていない |
| 5 | ジム挫折者の半数は、契約から180日以内に消える |
| 6 | ジム選びの基準、「立地52.5%」対「トレーナーの質1.0%」の52倍差 |
| 7 | 総合フィットネスクラブ70.2% vs 低価格ジム48.2%、22ポイントの開き |
| 8 | ジム選びの後悔TOP1は、料金でも設備でもなく「混雑」 |
これらの数値を日本のフィットネス会員数約290万人に当てはめると、「目標達成して卒業」できる人は推計約26万人にとどまり、残りの約264万人は目標未達のまま現役会員か離脱経験者ということになります。
以下、それぞれの数値の背景データを順に解説します。
2. 【調査概要】調査の背景と方法
業界背景
本調査の前提として、日本のフィットネス業界の規模感を整理しておきます。
- 市場規模(2024年度):約7,100億円(事業者売上高ベース、過去最高を更新)
※出典:帝国データバンク「『フィットネスクラブ・スポーツジム』業界動向調査(2024年度)」 - 会員数(2024年12月):約288.7万人(前年同月比1.2%増)
※出典:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」 - 市場の特徴:近年は低価格帯「コンビニジム」業態(chocoZAP等)が市場拡大を牽引する一方、業界の損益ベースでは黒字48.8%にとどまり、二極化が進行(帝国データバンク調査)
国際比較で見る日本のフィットネス参加率
もう一つ重要な前提が、世界基準で見た日本のフィットネス参加率の低さです。
| 国 | フィットネス参加率 |
|---|---|
| アメリカ | 23.7% |
| スウェーデン | 22.0% |
| ノルウェー | 22.0% |
| 英国 | 15.9% |
| ドイツ | 13.4% |
| 日本 | 4.5% |
出典:各国フィットネス産業統計(2023〜2024年データを基に集計)
米国では成人の約4人に1人がジム会員ですが、日本は約22人に1人。米国と比べると、日本人のジム参加率は約5分の1にとどまります。
つまり、日本では世界水準で見て圧倒的に少ない人々がジムに参加しており、さらにその一握りの参加者の9割が「目標未達」のまま消えている——本調査が浮き彫りにするのは、その二重構造の特異性です。
調査の概要
| 調査名 | ジム経験者200人調査:ジム挫折実態調査2026 |
|---|---|
| 調査主体 | コーチム編集部(coaching-by-web.com) |
| 調査対象 | 過去5年以内にジム(一般・パーソナル)を契約した経験者 |
| 有効回答数 | 196名(全回答200名のうち、スクリーニング外4名を除外) |
| 調査手段 | インターネットアンケート調査(Web回答方式) |
| 設問数 | 全20問(選択式中心+自由記述1問) |
| 調査期間 | 2026年5月20日〜5月27日 |
| 回答者属性 | 男性65.5% / 女性34.5%、30代33.5% / 40代35.0% / 50代23.5%が中心 |
3.【データ1】ジム契約者で「目標達成して卒業」できるのは、10人に1人未満

まず、本調査で最も衝撃的な事実から提示します。
「現在、ジムに通っていますか?」という設問への回答分布は以下の通りでした。
| 現在の状況 | 割合 |
|---|---|
| 通っている(継続中) | 31.5% |
| 通っていない(挫折して辞めた) | 30.0% |
| 通っていない(その他の理由で辞めた) | 29.5% |
| 通っていない(目標達成して卒業した) | 9.0% |
「目標達成して卒業した」と答えた人は、わずか9.0%。継続中の人を除いた離脱者の中でも、ポジティブな理由で離れた人は1割強にとどまります。
これを言い換えると、ジム契約者で「目標達成して卒業」できるのは、10人に1人未満。残りの91%は、まだ通っているか、挫折しているか、何らかの理由で目標未達のまま辞めているということです。
日本のフィットネス市場は年間7,100億円規模・会員数約290万人。本調査の数値をそのまま当てはめると、「目標達成して卒業」できる人は推計約26万人にとどまり、残りの約264万人は目標未達のまま会員になっているか、離脱した過去を持つということになります。他の業界で「顧客の9割が目標達成できないサービス」があれば、構造的な問題として大きく取り上げられるはずです。それがジム業界では当たり前として受け入れられている——この前提自体が、問い直されるべきかもしれません。
では、なぜジム契約者の9割は目標達成できないのか。その理由を、以下7つのデータが順に明らかにしていきます。
4.【データ2】ジム挫折者の73%は、ジムに不満を持っていなかった
「ジムを辞めた人は、ジムに何か不満があったから辞めた」——多くの人がそう推測します。しかしデータは違うことを語っています。
ジムを挫折・離脱した人に「辞めた理由」を最大3つまで選んでもらった結果が以下です。
| 挫折・離脱理由 | 選択率 | 分類 |
|---|---|---|
| モチベーションが続かなかった | 33.5% | 心理的 |
| 時間がなくなった・忙しくなった | 32.0% | 心理的 |
| 通うのが面倒になった | 29.0% | 心理的 |
| 料金が高くて続けられなかった | 11.5% | ジム要因 |
| 効果を感じられなかった | 8.0% | ジム要因 |
| トレーナーや雰囲気が合わなかった | 7.5% | ジム要因 |
「ジム要因」(料金・効果・トレーナー)を理由に挙げた人は、合計しても全体の27%にとどまります。残りの73%は、ジムそのものに不満があったわけではなく、自分の心の中の問題(モチベ・時間・面倒)で辞めているのです。
これは、ジム業界が長年「設備の充実」「料金の安さ」「トレーナーの質向上」で勝負してきたことが、挫折防止にはほとんど寄与していない可能性を示します。挫折を防ぐカギは、ジム側の改善ではなく、利用者の心の状態の支援にあるのかもしれません。だとすれば、それを担うのはジム業界なのか、それとも別のサービス領域なのか——この問いに対する明確な答えは、まだ業界の中に存在しません。
「心の問題」を自覚する、ジム経験者の声
「契約をする際にはモチベーションが高く非常にやる気になっていたのですが、後の事を考えずその時の気持ちのみで契約期間を決めてしまいました。結局通っていると次第にその期間が長く感じてモチベーションが下がる要因にもなったので、後悔しました」(40代男性)
「近くとはいっても出かける支度をして通うのは結構面倒だなと感じてしまった。ランニングマシンや器具を購入して自宅でやったほうが続けられるかもと感じた」(30代女性・24時間ジム)
5.【データ3】ジムで痩せられるかは、入会した時点で半分決まっている

結果が出るか出ないかは、ジムの選び方やトレーニング内容ではなく、入会時点での「動機」によって半分以上決まっている——本調査はこの事実を、極端な数値で示しました。
動機別の減量達成率を集計すると、ある動機の人は87.5%が痩せ、別の動機の人は半数未満しか痩せないという開きが見られました。
| ジムに通おうと思ったきっかけ | 減量達成率 |
|---|---|
| 医師から運動を勧められた※ | 87.5% |
| 健康診断の結果が気になった | 73.7% |
| 体型・見た目を変えたかった | 60.0% |
| 運動不足を解消したかった | 49.2% |
| ストレス発散・気分転換 | 40.0% |
※「医師から運動を勧められた」回答者については少数サンプル(8名)のため、参考値としてご参照ください。類似の動機である「健康診断の結果が気になった」(19名)でも達成率73.7%と高く、同様の傾向が確認できます。
「医師に勧められて」入会した人は87.5%が痩せた一方で、「運動不足を解消したかった」という曖昧な動機の人は49.2%しか痩せていません。動機の質によって、達成率に約40ポイントの差があります。
共通するのは、上位の動機(医師の勧め・健診結果)が「外部からの客観的な指摘」を契機としていることです。一方、下位の動機は「自分の感覚」で始まったもの。では、ジム入会前の段階で消費者の動機の質を高めるサポートは、誰が担うべきなのか——この問いは、ジム業界の責任範囲を超えています。
6.【データ4】ジムにいくら払うかと、痩せられるかは、ほぼ関係なかった
「高いジムなら、痩せられる」——これは多くの消費者が抱く期待です。しかし本調査のデータは、それが幻想に近いことを示しました。
月額支払額別の減量達成率を集計した結果が以下です。
| 月額支払額 | 減量達成率 |
|---|---|
| 3,000円未満 | 35.7% |
| 3,000〜5,000円 | 58.7% |
| 5,000〜10,000円 | 54.5% |
| 10,000〜20,000円 | 66.7% |
月額3,000〜5,000円ゾーン(58.7%)と、月額5,000〜10,000円ゾーン(54.5%)で達成率がほぼ同じ。月額1万円以上の支払い層でも、達成率は66.7%にとどまります。
そして、最も意外な数値がここです。
月額1万円以上を支払って、痩せなかった or 太ってしまった人:23.1%
(月1万円以上を支払った層のうち、変化なし11.5%+増量11.6%=計23.1%)
年12万円以上の支出を続けて、結果を得られない人が約4人に1人いる計算です。
毎月1万円超を支払っても、約4人に1人は体重変化を得られていない。「お金で結果を買う」モデルは、ジム業界では成立していないことを示すデータです。では、消費者は何にお金を使えば本当に結果につながるのか——その答えは、ジムの料金プランの中には見つかりませんでした。
7.【データ5】ジム挫折者の半数は、契約から180日以内に消える

「ジムをいつ辞めるか」——この問いに対して、本調査は明確な答えを示しました。
ジムを挫折・離脱した人の「通った期間」を集計すると、累計の脱落者数が以下のように分布しています。
| 通った期間 | 離脱者の割合 | 累計脱落率 |
|---|---|---|
| 1ヶ月未満 | 0.9% | 0.9% |
| 1〜3ヶ月 | 22.4% | 23.3% |
| 3〜6ヶ月 | 28.4% | 51.7% |
| 6ヶ月〜1年 | 24.1% | 75.9% |
| 1〜2年 | 14.7% | 90.5% |
| 2年以上 | 9.5% | 100.0% |
注目すべきは「3〜6ヶ月」ゾーンでの脱落の集中です。挫折者の28.4%がこの期間に消えており、累計では51.7%。つまり、ジム挫折者の半数は、契約から180日以内に離脱しているということです。
この「6ヶ月の壁」を超えられれば、その後の継続率は格段に高まる傾向があります。しかし業界の関心は「入会キャンペーン」「初月無料」「初心者特典」など、入会前後に集中しがちです。本当に対策が必要なのは、契約から3〜6ヶ月目という、すでに会員になった後の時期です。ここに介入できるサービスやプロダクトは、現在のジム業界の中に存在しているでしょうか。
「徐々に通えなくなった」ジム経験者の声
「平日の仕事終わり(19時〜21時頃)の混雑具合を契約前の見学時にしっかりと確認しておけばよかったです。マシンが埋まっていて順番待ちになることが多く、仕事帰りに効率よくトレーニングを進めるのが難しくなり、徐々に足が遠のく原因になってしまいました」(30代男性・24時間ジム)
「仕事が忙しくなって時間の確保が難しくなってしまい、ジムに通えなくなってしまったので、ジムで運動する時間に融通の利くプランにしとけばよかったと後悔しました」(30代男性)
8.【データ6】ジム選びは「50倍の偏り」がある
消費者がジムを選ぶ基準にも、極端な偏りがあります。「ジムを選ぶとき、何を最重視しますか?」という設問の結果が以下です。
| 重視ポイント | 選択率 |
|---|---|
| 立地・通いやすさ | 52.5% |
| 料金の安さ | 19.0% |
| 施設・設備の充実度 | 9.0% |
| 営業時間(24時間営業など) | 7.5% |
| クチコミ・評判 | 4.5% |
| キャンペーン・割引 | 2.0% |
| 特定の機能(女性専用・パーソナルなど) | 1.5% |
| トレーナーの質 | 1.0% |
過半数が「立地」を最重視し、対照的に「トレーナーの質」を最重視する人はわずか1.0%。立地重視と比べて、52倍もの開きがあります。
これを日本のフィットネス会員数約290万人に当てはめると、「立地」で選ぶ人は推計152万人、「トレーナーの質」で選ぶ人は推計わずか2.9万人。本来「指導の場」であるはずのジムが、消費者には「設備を借りる場所」として認識されている実態が、この数字に表れています。
「指導の質で選ぶ」という発想自体が、消費者の中に存在していません。そうだとすれば、消費者が本当に必要としている「指導」は、ジム以外のどこから提供されているのでしょうか。
9.【データ7】ジムタイプによる「2倍近い差」
「どのジムタイプを選んでも、痩せる人は痩せるし、痩せない人は痩せない」——一見もっともらしい意見ですが、データはそれを否定します。
ジムタイプ別の減量達成率を集計したところ、以下のような明確な差が見られました。
| ジムタイプ | 減量達成率 |
|---|---|
| 総合フィットネスクラブ(ゴールドジム・コナミ等) | 70.2% |
| 24時間ジム(エニタイム・ファストジム等) | 50.0% |
| 低価格ジム(チョコザップ・カーブス等) | 48.2% |
※女性専用ジム・パーソナルジム経験者は本調査ではサンプル数が少ないため除外。
総合フィットネスクラブ(月会費1万円前後の大型施設)では、約7割が減量に成功していました。一方で、近年急成長している低価格ジム(チョコザップ等、月会費数千円)では、減量達成率が5割を割り込んで48.2%。両者の差は22ポイントと、ほぼ2倍近い開きです。
低価格ジムは「安く運動できる選択肢」として人気を集めていますが、結果という観点では、老舗の総合フィットネスクラブの方が圧倒的に高い達成率を示しています。市場拡大の主役である低価格ジムが、減量達成率では最下位という構造を、業界全体としてどう受け止めるかが問われています。
10.【データ8】ジム選びの後悔TOP1は、料金でも設備でもなく「混雑」
本調査では「ジム選びで後悔したこと」を自由記述で聞きました。回答者のうち、何らかの後悔を語った人は全体の85.7%に達しています。
それらをカテゴリ別に集計した結果が以下です。
| 順位 | 後悔のカテゴリ | 出現率 |
|---|---|---|
| 1位 | 混雑・順番待ち | 17.0% |
| 2位 | 客層・雰囲気・マナー | 12.6% |
| 2位 | 設備・清潔感 | 12.6% |
| 4位 | 立地・通いやすさ | 11.3% |
| 5位 | モチベーション・継続 | 10.7% |
意外な事実は、後悔のTOP1が「料金」でも「設備」でも「トレーナー」でもなく、「混雑・順番待ち」だったことです。
200人の生の後悔(一部抜粋)
「外側から見ていた時はみんなが黙々とトレーニングを重ねていて静かでストイック、紳士的な雰囲気だと思っていた。しかし実際に契約してみると、騒がしい人がいて集中しづらかったり、マシンを占領する人など自分勝手な人が少なくなかった」(50代男性・総合フィットネスクラブ)
「スタッフが常駐していない時間帯が多く、マシンの正しい使い方がいまいち分からないまま自己流でやってしまい、結局効果が出ずに飽きてしまった」(30代女性・24時間ジム)
「通い放題であっても、実際には継続して通うための習慣づくりが最も重要だと感じた。入会当初はやる気があっても、仕事が忙しくなると足が遠のきやすく、結果的に月額費用だけが発生してしまう時期があった」(40代男性・総合フィットネスクラブ)
「思ったよりも無人のジムってマシンの故障が放置されがちっていうこと。安いから仕方ないとは思うけど、使いたいマシンにずっと故障中の張り紙がされてるとちょっとテンション下がる」(30代男性・低価格ジム)
注目すべきは、後悔のTOP5が「契約してから初めて気づくこと」で構成されている点です。混雑、客層、清潔感、通いやすさの実感、そして自分のモチベーション——これらはすべて、入会前の見学やカウンセリングではほとんど分からない要素です。ジム選びには、見学では把握できない情報のギャップが構造的に存在しています。このギャップを埋める情報サービスは、誰がどのような形で提供できるのでしょうか。
11. 【総括】8つのデータから見える、3つの構造的事実

本調査の8つのデータを統合すると、ジム業界に関する3つの構造的事実が浮かび上がります。これらは、業界の関係者・消費者・周辺サービス事業者がそれぞれ向き合うべき課題でもあります。
事実1. ジム側の改善では、目標未達は解決しない
ジム挫折者の73%は、料金・設備・トレーナーに不満を持っていませんでした(データ2)。挫折の主因はモチベーション、時間、面倒という「心理的要因」であり、これらは設備投資や価格改定で解決できる領域ではありません。
さらに、結果の予測因子としては「入会時点での動機の質」が決定的に大きいことも判明しています(データ3)。動機を維持・強化する、あるいは脱落のピーク(契約から3〜6ヶ月目、データ5)に介入する仕組みは、現在のジム業態の中には十分に組み込まれていません。9割が目標達成できないという結果(データ1)は、ジム側の努力だけで埋められる隔たりではない可能性が高いのです。
事実2.「料金が高い vs 安い」の議論は、本質的でない可能性
月額支払額と減量達成率の相関は、想像されるほど強くありませんでした(データ4)。月額1万円以上を支払って痩せなかった人は23.1%。むしろジムタイプ別では、市場拡大を牽引する低価格ジムの減量達成率(48.2%)が、老舗総合クラブ(70.2%)より22ポイント低いという結果が出ています(データ7)。
「いくら払うか」より「どんな環境で、どんな動機で取り組むか」が結果を左右する——これは、ジム業界が長年競ってきた「価格戦争」の前提を、根本から問い直すデータです。
事実3.「場所」と「結果」の乖離
ジムは事業者として「場所と設備」を提供していますが、消費者が本当に求めているのは「結果」です。本調査では、ジム選びの基準が「立地52.5%」「料金19.0%」など「場所」の条件に集中する一方、「トレーナーの質」を最重視する人は1.0%にとどまりました(データ6)。さらに後悔TOP1は「混雑」で、これも「場所」の問題です(データ8)。
消費者は、自分が「結果」を求めているにもかかわらず、選ぶ基準も後悔の対象も「場所」に偏っている——この乖離が、9割が目標達成できないという結果に直結している可能性があります。「結果を出すこと」を中心に据えたサービス設計が、ジム業界の外側で求められているとも言えます。
12. 【メディア向け】そのまま使える見出しキット
本調査のデータを引用される際、メディア各社が記事タイトル・見出しとしてそのまま使える短文を、各データ別に整理しました。記事化の際にご活用ください。
データ1(9割が目標達成できない)に関する見出し例
- 「ジム契約者で『目標達成して卒業』できるのは10人に1人未満」
- 「9割が目標未達のまま消える年7,100億円市場」
- 「日本のジム会員290万人のうち、目標達成卒業は推計26万人未満」
データ2(挫折者の73%)
- 「ジム挫折者の73%は、料金・設備・トレーナーに不満を持っていなかった」
- 「ジムが続かない理由TOP3はすべて『心理的要因』」
- 「挫折の主因は『モチベ・時間・面倒』 —— ジム側の改善では解決しない」
データ3(動機×結果)
- 「ジムで痩せられるかは、入会時点で半分決まっている」
- 「『医師に勧められた』動機の人の減量達成率は87.5%」
- 「動機の質で、減量達成率は40ポイントの差」
データ4(お金と結果)
- 「ジムに毎月1万円以上払っても、4人に1人は痩せていない」
- 「ジム月額と結果の弱い相関 —— 高いジムが効くという幻想」
- 「年12万円を超えて支払う「結果なき会員」の存在」
データ5(6ヶ月の壁)
- 「ジム挫折者の半数は、契約から180日以内に消える」
- 「ジム継続の最大の山場は『3〜6ヶ月目』 —— 200人調査が示す現実」
- 「ジム離脱のピークは契約3〜6ヶ月目に集中」
データ6(立地52% vs トレーナー1%)
- 「ジム選びの基準は『立地52%』『トレーナーの質1%』 —— 差は50倍」
- 「200人中、トレーナーの質でジムを選んだのはたった2人」
- 「日本人のジム選び、消費者は『場所』を買っていた」
データ7(ジムタイプ別)
- 「総合フィットネスクラブで痩せた人は7割、低価格ジムは5割未満」
- 「市場拡大の主役「低価格ジム」が、減量達成率では最下位」
- 「ジムタイプ別の減量達成率に22ポイント差」
データ8(後悔TOP1)
- 「200人のジム経験者が後悔した最多項目は『混雑・順番待ち』」
- 「ジム選びの後悔TOP5は、すべて『契約後に気づくこと』」
- 「ジム選びは見学では分からない —— 200人の本音」
13. 本調査について
引用方法
本調査の数値・データは、メディア記事や論文等で自由にご引用いただけます。引用の際は、以下のようにご明記ください。
出典:コーチム「ジム経験者200人調査:ジム挫折実態調査2026」
URL: https://coaching-by-web.com/research/gym-dropout-survey-2026/
また、より詳細なクロス集計データや、特定のセグメントに絞った追加分析が必要な場合は、コーチム編集部までお問い合わせください。可能な範囲で個別対応いたします。
FAQ
Q1. 「200人調査」とありますが、有効回答は196名ですか?
調査開始時の目標サンプル数200名に対し、最終的に200名から回答を得ました。ただし、スクリーニング(設問1「過去5年以内にジムを契約したか」)で「いいえ」と回答した4名は集計対象から除外しています。本文中の各数値は、すべて有効回答196名を母集団とした集計結果です。
Q2. 「医師に勧められた」動機をN=8で扱っているのはサンプルが少なくないですか?
ご指摘の通り、N=8は統計的には少数サンプルです。本記事でも該当箇所に明示的に注釈を入れています。一方で、類似の動機である「健康診断の結果が気になった」(N=19)でも、減量達成率73.7%という高水準を示しており、「外部からの客観的な指摘を契機にした動機は結果が出やすい」という傾向は補強されていると考えられます。あくまで「傾向の一つ」としてご参照ください。
Q3. 回答者の選定にバイアスはありませんか?
本調査はインターネットアンケート調査(Web回答方式)のため、回答者層がインターネット利用ユーザーに偏る可能性があります。具体的には、20代の比率(7.5%)が一般的な人口分布よりやや低く、自営業・フリーランスの比率(27.5%)がやや高い傾向があります。引用される場合は、この前提を踏まえてご活用ください。
Q4. パーソナルジム経験者のサンプル数が少ないのはなぜですか?
本調査では、パーソナルジムを本契約した経験者は5名(2.5%)にとどまりました。これは「ジム契約経験者全体の中でパーソナルジム経験者が少数派」という実態を反映しています。本調査ではパーソナルジムに特化した分析は行っていません。
Q5. 業界の市場規模・会員数・国際比較の出典は?
本記事内で言及した業界規模データの出典は以下の通りです。
- 市場規模(2024年度約7,100億円):帝国データバンク「『フィットネスクラブ・スポーツジム』業界動向調査(2024年度)」
- 会員数(2024年12月時点約288.7万人):経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」
- 国際比較データ(米国23.7%、英国15.9%等):各国フィットネス産業統計(2023〜2024年データを基に集計)
Q6. 第2弾の調査予定はありますか?
コーチム編集部では、今後も継続的に独自調査を実施していく予定です。第2弾以降のテーマとしては、「ジム継続率の業界比較」「リバウンドの実態調査」「パーソナルジム経験者に特化した調査」などを検討しています。詳細については、コーチム公式X(@coachim_gym)でお知らせいたします。
Q7. 設問票の全文を見ることはできますか?
調査に使用した全20問の設問票については、メディア・研究機関のご担当者様からのお問い合わせに応じて個別に共有いたします。コーチム編集部までご連絡ください。
