【500人調査】マンジャロに惹かれる人を貫く「現在バイアス」──サブスク解約忘れ・衝動買いが約2倍。消費者の8割は冷静だった



「マンジャロ」という名前を聞いたことがある人は、500人中75.0%。しかし「内容まで説明できる」人は、わずか2.2%でした。名前だけが独り歩きしている——これが、コーチム編集部が実施した500人調査の出発点です。

2型糖尿病の治療薬であるマンジャロは、その食欲を抑える作用から”やせ薬”として注目を集め、SNSでの違法販売が社会問題化しています。「誰でも金を出せば飛びつく薬」というイメージが先行しがちです。しかし、500人のデータが描いたのは、むしろ逆の姿でした。消費者の大半は、驚くほど冷静だったのです。

そして、痩せ薬・医療ダイエットに惹かれる少数派には、一つの共通した心理傾向がありました。行動経済学でいう「現在バイアス」——目先の満足を、将来の利益より優先する傾向です。本記事は、その実態を8つのデータで明らかにするレポートです。すべて引用自由。記事末尾に「メディア向け見出しキット」もあります。

目次

【サマリー】本調査で見えた8つの数値

本調査で明らかになった8つの数値を、衝撃度順に一覧で示します。

  • 1. マンジャロをはじめ痩せ薬に惹かれる層は、サブスク解約忘れ・衝動買い・リボ払いが無関心層の約2倍。「今すぐ1万円」を選ぶ人は約2.5倍(=現在バイアス)
  • 2. マンジャロ、名前は75.0%が知るが、内容まで知るのは2.2%
  • 3. 処方薬と美容クリニックの脂肪溶解注射の違いが「わからない」59.4%
  • 4. 痩せ薬に惹かれる理由トップは「運動・食事制限が続かなかった」34.7%
  • 5. 痩せ薬に「お金を出したくない」70.4%
  • 6. 消費者の83.2%は「薬は万能でない」と理解している
  • 7. マンジャロを最初に知ったのはWebメディア・テレビが優勢、SNSは脇役
  • 8. 痩せ薬に「お金を出せる」かは年収に比例(年収300万未満20.6%→1000万以上40.6%)

以下、それぞれの数値を順に解説します。

【データ1】マンジャロに惹かれる人を貫く「現在バイアス」

本調査で最も明確な傾向が現れたのが、この点です。痩せ薬・医療ダイエットに関心がある層(利用中・過去に利用・検討した人=95名)と、無関心層(検討もしたことがない人=405名)を比べると、関心層は日常の衝動的な消費行動が軒並み多いことが分かりました。

  • サブスク・定期課金を解約し忘れて払い続けた:関心層29.5% vs 無関心層15.1%(約2倍
  • 後払い・分割・リボ払いを使う:25.3% vs 12.6%(約2倍
  • 「3ヶ月後に2万円」より「今すぐ1万円」を選ぶ:36.8% vs 14.6%(約2.5倍
  • 衝動買いをして後悔した:60.0% vs 47.9%
  • こうした衝動的消費が「いずれもない」:関心層わずか6.3% vs 無関心層24.0%(無関心層のほうが4倍冷静
痩せ薬に関心がある層は衝動的な消費行動が無関心層の約2倍(サブスク解約忘れ・リボ払い・今すぐ1万円を選ぶ割合の比較)

さらに、関心の度合いが上がるほど衝動性も高まる傾向が見られました(衝動的消費の該当数の平均は、検討した層1.78に対し、無関心層1.23)。

これは、行動経済学でいう「現在バイアス」——将来得られる大きな利益より、目先の小さな満足を優先してしまう心理傾向——と重なります。「努力なしで・今すぐ・お金を払えば」という痩せ薬の訴求が、この心理と共鳴している可能性があります。サブスクを解約し忘れ、リボを使い、3ヶ月後の2万円より今の1万円を選ぶ感覚。その延長線上に、運動や食事管理という”将来への投資”を飛ばして結果だけを買おうとする発想がある、という構図です。

ただし、これはあくまで相関であり、因果ではありません。痩せ薬に惹かれるから衝動的になるのか、もともと衝動的だから惹かれるのか——その方向は本調査では断定できません。「痩せ薬に関心を持つ層には、目先を優先する消費傾向が併存している」という事実を示すデータとしてご参照ください。

【データ2】マンジャロ、名前は75%・中身は2%という「独り歩き」

マンジャロの名前を聞いたことがある人は75.0%だが、内容まで説明できる人は2.2%にとどまる

マンジャロの「名前を聞いたことがある」人は75.0%。一方、「内容まで説明できる程度に知っている」人は、わずか2.2%でした。名前の認知と中身の理解に、35倍近い開きがあります。

SNSやニュースで名前が広く知られる一方、それが「2型糖尿病の治療薬であること」「どういう仕組みで作用するか」といった実像はほとんど伝わっていません。実際、「マンジャロは日本で主に何の薬として承認されているか」という設問では、正解の「2型糖尿病の治療薬」を選べた人は59.8%にとどまり、4割は正しく答えられませんでした。名前だけが先行し、理解が追いついていない状態です。

【データ3】処方薬と美容注射、6割が「違いがわからない」

「美容クリニックの脂肪溶解注射(スルリムなど)」と「マンジャロのような処方薬」は同じものか、という問いに対し、「違いがよくわからない」と答えた人が59.4%。「まったく別のもの」と正しく区別できた人は34.2%にとどまりました。

医師が処方する全身性の医薬品と、特定部位に注射する美容施術は、仕組みも目的もまったく異なります。しかし消費者の認識の中では、「医療っぽいダイエット」として一括りにされている実態がうかがえます。名前は知られても中身が理解されていない(データ2)ことと、根は同じです。

【データ4】惹かれる理由トップは「運動・食事が続かなかった」

痩せ薬・医療ダイエットに関心がある層に、興味を持った最大の理由を聞くと、トップは「運動や食事制限が続かなかったから」34.7%。次いで「自力では痩せられなかったから」32.6%でした。両者を合わせると約3分の2が、「続けられなかった」「自力で無理だった」という挫折経験を入口にしています。

これはデータ1の現在バイアスと裏表の関係にあります。目先を優先し、継続が苦手な傾向があるからこそ、運動や食事管理が続かず、その挫折の受け皿として薬に向かう——という流れです。痩せ薬の需要は、健康意識の高さからではなく、むしろ「続けられなかった経験」から生まれている可能性が高いと言えます。

【データ5】7割が「お金を出したくない」という現実

痩せ薬に毎月いくらまで出せるかを聞くと、「出したくない」が70.4%。出せるとしても「5,000円まで」が23.2%で、両者で9割を超えます。「1万円以上出せる」という人は、わずか1%でした。

実際の医療ダイエットは、オンライン診療でも月1万円以上、クリニックではさらに高額になることが珍しくありません。消費者の財布感覚と、医療ダイエットの実勢価格には大きな乖離があります。「興味はあっても、その金額は出さない」というのが、多数派の本音です。

【データ6】消費者の8割は「薬は万能でない」と理解している

「痩せることについての考え」を聞くと、「運動・食事のほうが健康的で続くと思う」49.2%、「薬で痩せても生活習慣を変えなければ元に戻ると思う」34.0%。両者を合わせると83.2%が、薬を万能視していません。「薬のほうが楽で確実」と答えた人は4.4%にとどまりました。

さらに、「痩せ薬で減量後、使用をやめたらどうなるか」では、65.4%が「体重が戻りやすい」と正しく認識。入手方法についても、「SNS・フリマでの個人売買」や「海外からの個人輸入」を”安全”とした人は、500人中わずか3人でした。「消費者は誤解し、SNSに踊らされ、安易に飛びつく」という通説は、本調査では支持されません。多くの人は、リスクも限界も理解したうえで距離を取っています。

【データ7】最初に知ったのはテレビ・Web記事、SNSは脇役

マンジャロ・医療ダイエットを最初に知ったきっかけはWebメディア28.8%・テレビ19.0%が上位、SNSは合計32.2%だが各媒体に分散

「マンジャロ・医療ダイエットを最初にどこで知ったか」では、「Webメディア・ニュース記事」28.8%、「テレビ・新聞」19.0%が上位。SNS(X・YouTube・TikTok・Instagram)は合計でも約32%で、しかも各媒体に分散していました。

「SNSが火付け役」というイメージとは異なり、最初の認知はマスメディアが優勢です。また、SNS経由で知った層の理解度が特に低いという傾向も見られませんでした(むしろマンジャロの正答率はやや高め)。痩せ薬の認知は、SNSの一部で過熱しているように見えて、実際にはテレビ・Web記事という従来型のルートで広く薄く広がっている、というのが実像です。

【データ8】「お金を出せる」かは年収に比例

痩せ薬に支払う意向がある人の割合は、年収によって緩やかに変わります。年収300万円未満では20.6%、300〜500万円31.5%、700〜1000万円37.7%、1000万円以上では40.6%。年収が上がるほど、医療ダイエットに支払う意向も高まる傾向です。医療ダイエットへのアクセスは、経済力に比例する側面があると言えます。

【総括】8つのデータから見える3つの構造的事実

本調査のデータを統合すると、3つの事実が浮かび上がります。

事実1:名前は知られ、中身は知られていない。マンジャロは認知だけが先行し、処方薬としての実像も、美容施術との違いも伝わっていません(データ2・3)。

事実2:消費者の大半は冷静だった。薬を万能視せず、リバウンドを理解し、個人輸入を危険と認識し、そもそも7割は金を出したがらない(データ5・6・7)。「踊らされる消費者」という前提は、データに支持されませんでした。

事実3:惹かれる少数派には、現在バイアスがある。痩せ薬に向かう心理は、目先を優先し継続が苦手な消費傾向と地続きで、「続けられなかった」経験が入口になっています(データ1・4)。

ここから見えるのは、痩せ薬をめぐる議論が「知識の啓発」だけでは届きにくいということです。多くの人はすでに冷静で、惹かれる層の本質は知識不足ではなく、目先を優先しがちな心理にあります。これは、運動や食事を「続ける」ことの難しさと、まったく同じ根を持つ問題です。実際、回答者の自由記述には、その本質を突く声が並びました。「一時的に薬を使って効果があっても、もとの生活習慣を変えないと意味がない」「即効性よりも、将来の自分の健康を考慮したほうがいい」——多くの人は、答えがどこにあるかをすでに知っているのです。

【メディア向け】そのまま使える見出しキット

本調査のデータは引用自由です。記事タイトル・見出しにそのまま使える短文を整理しました。

データ1(現在バイアス)

  • 「マンジャロに惹かれる人は『現在バイアス』が強い──サブスク解約忘れ・衝動買いが約2倍」
  • 「『今すぐ1万円』を選ぶ人ほど痩せ薬に関心──目先優先の心理と医療ダイエット」

データ2・3(認知ギャップ)

  • 「マンジャロ、名前は75%が知るが中身を知るのは2%」
  • 「処方薬と美容注射、6割が違いを区別できず」

データ4・5・6(実像)

  • 「痩せ薬に惹かれる理由トップは『運動・食事が続かなかった』」
  • 「痩せ薬に7割が『お金を出したくない』」
  • 「消費者の8割はマンジャロを『万能』とは見ていない」

本調査について

本調査の数値・データは、メディア記事等で自由にご引用いただけます。引用の際は、出典として「コーチム『マンジャロ・医療ダイエットに関する消費者意識調査2026』」および本記事URLをご明記ください。

  • 調査名:マンジャロ・医療ダイエットに関する消費者意識調査2026
  • 調査主体:コーチム編集部(coaching-by-web.com)
  • 調査対象:全国の20〜60代成人500名(ダイエット関心の有無を問わず)
  • 調査手段:インターネットアンケート(Web回答方式)
  • 調査期間:2026年6月
  • 回答者属性:男性56.4%/女性42.6%。40代34.4%・30代27.0%・50代24.2%が中心。最終学歴は4年制大学が50.6%。

※本調査はインターネット調査のため、回答者層がネット利用者・調査モニターに偏る可能性があります(20代の比率がやや低く、大卒比率がやや高い傾向)。引用の際はこの前提を踏まえてご活用ください。

※本記事で言及した業界データ(市場規模、薬剤の承認状況、減量後のリバウンドに関する研究等)は、公的機関・公表論文等の情報に基づきます。本調査は消費者の意識・認知を調べたもので、特定の薬・施術の効果や安全性、使用の是非について解説・推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

コーチム編集長。複数の大手フィットネスジムで挫折後、自己流(通勤運動・自重トレ・AI食事管理)で3ヶ月10kg減量を達成。さらにパーソナルトレーニングの指導で追加5kg減を実現し、専門指導の価値を実感。NSCA-CPT取得。特定のジムと利害関係を持たず、「続けられるパーソナルジム選び」をテーマに中立的な立場で発信。

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