ジムのフランチャイズは、コインランドリーや買取店と同じ棚に並んでいる|加盟条件を8社調べた結果【2026年】

コーチム編集長 木村 涼

この記事を書いた人

木村 涼コーチム編集長/NSCA-CPT取得

30代女性。大手の4つのジムで挫折 → 自己流で3ヶ月10kg減(57→47kg) → パーソナル指導でさらに5kg減。挫折と減量の全記録はこちら。特定のジムと金銭的な利害関係を持たない立場から、紹介料の有無で評価を歪めずに書いています。

4ジム挫折57→47kgさらに−5kgNSCA-CPT取得

【PR】本記事はアフィリエイト広告を含みます。

RIZAPが運営する公式サイトに、こういうページがあります。

「chocoZAPフランチャイズ加盟募集|無人経営・節税対策・新規事業」

フランチャイズ加盟を募集するページなのですが、内容が独特です。加盟を勧める理由として最初に挙げられているのは、トレーニングの効果でも会員の健康でもありません。

設備投資による高い「節税効果」
マシン・内装費を賢く償却 × 利益圧縮

掲載されているオーナーの声も、同じ方向を向いています。

本業の利益が出たタイミングで、決算対策として加盟しました。初年度に大きな損金を作れるだけでなく、その後は手間いらずで毎月安定したキャッシュが入ってくるので、会社の財務体質が強化されました。(法人オーナー・IT企業経営)

空きテナント対策として導入。内装や設備への投資を経費化しつつ、物件の価値も上げることができました。(個人事業主・不動産オーナー)

ページの末尾はこう締めくくられています。「決算間近の法人様もご相談ください。」

ここで語られているジムは、運動をする場所ではありません。利益を圧縮するための設備であり、空きテナントの埋め方であり、決算対策の手段です。

ジムは、いつからこうなったのでしょうか。

目次

この記事でわかること

  • ジムが「投資商品」として売られるようになった経緯
  • フランチャイズ比較サイトで、ジムが何と並べられているか
  • ジムのフランチャイズ条件が、なぜ調べても出てこないのか
  • 業態によって、加盟しか道がない場合があること

先に断っておくと、この記事では「どのフランチャイズが儲かるか」は扱いません。収益性の比較は、投資額と回収期間を細かく見る必要があり、別に扱うべきテーマだからです。ここで整理するのは、ジムを開くという行為が、今どういう文脈に置かれているかです。

前提:ジム経営は「軽く」なった

前回の記事で、日本のジム市場が5つの業態に分かれた経緯を整理しました。かつてジムといえばプールもスタジオも風呂もある総合型だけで、作れるのは資本を持つ企業だけでした。数千坪の床面積と億単位の投資が必要だったからです。

そこから機能が切り出されていきます。ヨガだけを抜き出したヨガスタジオ、マシンだけを残して24時間化した24時間ジム、女性向けの軽い運動に絞った小規模ジム、トレーナーの指導だけを売るパーソナルジム。

機能を切り出したことで、床面積と初期投資が下がりました。プールを作らなければ特殊な構造は要りません。風呂とサウナを置かなければ大型のボイラーも不要です。パーソナルジムなら10坪から20坪で開業できます。

この変化には、当時あまり語られなかった副作用がありました。

ジムが「店舗ビジネスの一種」になったのです。

マシンを置いて、無人で回せて、月額課金で収益が積み上がる。この構造を抽象化すれば、それはもうフィットネスの話ではありません。設備を置いて、人を置かずに、毎月お金が入る仕組み。コインランドリーと同じです。

そしてその瞬間から、トレーニングに一切興味のない人たちが、ジムを検討し始めました。

フランチャイズの棚に、ジムはどう並んでいるか

フランチャイズ比較メディアの「無人経営できるフランチャイズ」カテゴリに、フィットネスジムが買取・リユース、コインランドリー、セルフエステ、無人販売所、ホワイトニング、レンタルスペース、インドアゴルフ、外貨両替機と並べて掲載されている図。投資先としてジムを見る人の比較相手は他のジムではない。出典:コーチム調べ2026年8月

「無人経営できるフランチャイズ」というカテゴリ

フランチャイズ加盟先を探す人は、比較サイトを使います。フランチャイズWEBリポート、アントレnet、フランチャイズ比較ネットといったメディアです。

これらのサイトで、ジムはどのカテゴリに置かれているか。調べると、ある傾向が見えます。

「無人経営できるフランチャイズ」です。

そしてそのカテゴリで、ジムと並べられているのが次の業種です。

業種 掲載されている媒体の例
コインランドリー 無人店舗FC比較、フランチャイズ比較ネット
セルフエステ フィジビリ、無人店舗FC比較
無人販売所(スイーツ・冷凍餃子・精肉) フィジビリ、フランチャイズ加盟募集.net
買取専門店・リユース フランチャイズWEBリポート、フランチャイズ加盟募集.net
ホワイトニングサロン フランチャイズWEBリポート
レンタルスペース・コワーキング フランチャイズWEBリポート、無人店舗FC比較
インドアゴルフ フィジビリ
外貨両替機 無人店舗FC比較
フィットネスジム 上記すべての媒体

出典:各フランチャイズ比較メディアの掲載内容よりコーチムが整理(2026年8月時点)

ある比較サイトは「無人店舗ビジネスが可能な6業種」として、飲食販売・フィットネスジム・コインランドリーを並べて解説しています。別のサイトは「無人でおすすめのフランチャイズ8社」として、無人販売所・セルフエステ・フィットネスジム・インドアゴルフの4業種を推しています。

ジムを検討している人が見ている画面には、ジムだけが載っているわけではありません。その隣にコインランドリーがあり、買取店があり、冷凍餃子の無人販売所があります。

ジムのフランチャイズが比較されているのは「他のジム」ではない

ここが重要な点です。

投資先としてジムを見ている人にとって、比較対象は24時間ジムとパーソナルジムではありません。ジムとコインランドリー、ジムと買取店です。

彼らが知りたいのは、マシンの性能でもトレーナーの質でもありません。いくらかかって、何年で回収できて、どれくらい手がかからないか。それだけです。

実際、chocoZAPの節税向けページで強調されているのも、この3点でした。設備投資による節税効果、ブランド力による集客、無人運営による低ランニングコスト。トレーニングの内容についての記述は、ほとんどありません。

これは批判ではありません。そういう商品として設計され、そういう客層に向けて売られているという事実の確認です。

もうひとつの棚——買取・リユースという巨大カテゴリ

無人業態のなかでも、近年とりわけ存在感を増しているのが買取・リユースです。

フランチャイズWEBリポートは「買取フランチャイズ人気ランキングTOP10」という単独記事を組んでおり、業界紙のリユース経済新聞は、おたからやと買取大吉が店舗数の首位を争っていると報じています。無人業態の一部というより、それ自体が一大カテゴリです。

この買取FCの募集条件を見ると、ジムとの決定的な違いが浮かび上がります。

同じ棚の業種と、ジムは何が違うのか

無人業態という棚に並ぶ業種を、いくつかの観点で比べてみます。ジムがこの棚のなかでどういう位置にあるかを確認するためです。

業種 必要な広さの目安 収益の性質 在庫
買取・リユース 2〜5坪から 売買差益(都度) 本部買取なら不要
無人販売所 小規模 物販(都度) 必要
コインランドリー 中規模 都度課金 不要
セルフエステ 小〜中規模 月額または回数券 不要
フィットネスジム 20〜100坪超 月額課金(ストック) 不要

出典:各フランチャイズ本部および比較メディアの公表情報よりコーチムが整理(2026年8月時点)

この比較から、ジムの特徴が2つ浮かびます。

ひとつは、床面積が明らかに大きいことです。買取店が2〜5坪から始められるのに対し、パーソナルジムでも20坪前後、24時間型なら100坪規模になります。床面積は家賃と内装工事費に直結するため、これがそのまま初期投資と固定費の差になります。

もうひとつは、収益がストック型だということです。買取店や無人販売所の収益は都度の取引で発生しますが、ジムは月額課金です。会員が積み上がれば、翌月以降も同じ売上が立ちます。

この2つは表裏の関係にあります。入口が重い代わりに、立ち上がったあとの収益は安定する。逆に買取店は入口が軽い代わりに、毎月ゼロから売上を作る必要があります。

chocoZAPの募集ページが「新時代のストック型ビジネス」という表現を使っているのは、この特性を指しています。そして節税を訴求できるのも、床面積が大きく設備投資額が大きいからです。2坪の買取店では、償却できる設備投資の規模がそもそも小さい。

ジムの「重さ」は、この棚のなかでは弱点であると同時に、節税という文脈では強みに反転します。これが、ジムが投資商品として成立している構造です。

ジムのフランチャイズ条件は、どこに書かれているのか

ジム主要8ブランド(エニタイムフィットネス、chocoZAP、カーブス、かたぎり塾、BEYOND、REAL WORKOUT、LAVA、カルド)は公式サイトに金額の記載がない。一方でフランチャイズ比較メディアには条件が掲載されており、chocoZAPはロイヤリティ売上の15%、自己資金700万円以上、開業準備費220万円、開業2年目の売上約2,112万円・営業利益約708万円・約4年で回収と公開されている。出典:各社公式募集ページおよびフランチャイズWEBリポート/コーチム調べ2026年8月

ジム8社の公式サイトを調べた結果

ジムのフランチャイズに加盟するには、いくらかかるのか。

まず、主要8ブランドの公式フランチャイズ募集ページを確認しました。結果は次のとおりです。

ブランド 業態 公式が掲げている訴求 公式サイトでの金額表示
エニタイムフィットネス 24時間型 最短3年で回収可能/営業利益30%も なし
chocoZAP 24時間型 節税効果/決算対策/無人運営 なし
カーブス 小規模型 加盟企業350社超/テリトリー制 なし
かたぎり塾 パーソナル型 340店舗超/継続率11か月/最短2.5か月で出店 なし
BEYOND パーソナル型 撤退ゼロ/半年で投資回収の実績 なし
REAL WORKOUT パーソナル型 なし
LAVA ヨガ型 なし
カルド ヨガ型 なし

出典:各社公式フランチャイズ募集ページよりコーチムが確認(2026年8月時点)

8社すべてが、公式サイトには金額を掲載していませんでした。

各社が公式ページに掲載しているのは、結果の数字です。「最短3年で回収可能」「営業利益30%も」「半年で投資回収の実績」「継続率11か月」。どれも良い数字ですが、その前提となる投資額は書かれていません。

ただし、フランチャイズ比較メディアには加盟条件が書かれている

ところが、話はここで終わりません。

フランチャイズ比較メディアを見ると、条件が詳細に掲載されている場合があります。

chocoZAPがその例です。フランチャイズWEBリポートの掲載内容には、次の情報が並んでいます。

項目 内容
ロイヤリティ 売上の15%/月(最低保証額16万5,000円/月・税込)
自己資金の目安 700万円以上(融資などの活用を想定した金額)
開業準備費 220万円(税込・研修費を含む。受講者3名以上は1名につき22万円追加)
契約期間 7年(更新料なし。満了時に設備入れ替えを加盟者負担で実施)
開業までの日数 新規出店 最短約3か月/直営店引き継ぎ 最短約2か月
加盟条件 18歳以上・個人および法人。個人事業主は加盟前に法人化が必須
収支の目安 開業2年目の売上約2,112万円・営業利益約708万円・約4年での投資回収(直営店実績にもとづくシミュレーション)

出典:フランチャイズWEBリポート掲載内容(2026年8月時点)。同社は直営店実績にもとづくシミュレーションであり収益を保証するものではないと注記しています

ロイヤリティの料率、自己資金の目安、開業準備費、契約期間、さらには収支シミュレーションと回収期間まで。公式サイトにはひとつも書かれていなかった情報が、比較メディアには揃っています。

なぜ書く場所が分かれているのか

本部がこの使い分けをしている理由は、説明されていません。ただ、読む人が違うという構造は指摘できます。

公式サイトを見るのは、ジムに通う人です。chocoZAPの公式サイトには店舗検索があり、料金プランがあり、入会案内があります。訪問者の大多数は会員か、会員になろうとしている人です。

その画面に「ロイヤリティは売上の15%」と書いてあったら、どうなるか。自分が払っている月3,278円の会費のうち、いくらが本部に流れているのかを会員が知ることになります。知られて困る情報ではないかもしれませんが、伝える必要のない情報ではあります。

一方、フランチャイズ比較メディアを見るのは、加盟を検討している人だけです。ジムに通いたい人がフランチャイズWEBリポートを開くことはありません。読者が最初から分離されている場所なら、条件を詳しく書いても差し支えない。

実際、この構造は他業種でも一般的です。買取フランチャイズも、コインランドリーも、条件が詳しく載っているのは比較メディア側です。

つまり「ジムのフランチャイズ条件は公表されていない」というのは、正確ではありません。正しくは、公表されている場所が、一般の人が見る場所ではないということです。

それでも、すべてが分かるわけではない

ただし、比較メディアに載っているからといって、全ブランドの条件が揃うわけではありません。

今回確認した範囲では、chocoZAPほど詳細な条件を掲載しているジムブランドは限られていました。エニタイムフィットネスについては、加盟金500万円という記述が複数の媒体で一致するものの、ロイヤリティは「月9万円の固定制」とする媒体と「月75,000円の定額制」とする媒体があり、初期投資総額も「6,000万円前後」から「8,000万〜1億円」まで幅があります。

掲載されている数字も、本部が提供した情報である以上、本部が伝えたい範囲での情報です。加盟後に発生する追加費用や、想定を下回った場合の条件までは書かれていません。

本気で加盟を検討するなら、本部に問い合わせる以外に方法はありません。この記事を含め、外部の情報は出発点にすぎないと理解しておく必要があります。

買取フランチャイズは、公表している

同じ「無人経営できるフランチャイズ」の棚に並ぶ買取・リユース系はどうでしょうか。

ブランド 公表されている条件
BRAND OFF 加盟金100万円/ロイヤリティ月額5万円固定/開業前研修費50万円/保証金100万円/その他初期費用200万円程度
買取専科 5坪・1名・自己資金300万円から開業可能
買取専門さすがや 2〜3坪・スタッフ1名から開業可能
こやし屋 ロイヤリティ0円

出典:各社および買取FC比較メディアの掲載内容よりコーチムが整理(2026年8月時点)

加盟金がいくらで、ロイヤリティが月いくらで、何坪あれば始められるか。これらが公開情報として流通しています。

同じ棚に並びながら、片方は条件を出し、片方は出さない。この非対称は、加盟を検討する側にとって無視できない差です。

なぜジムのフランチャイズ条件は公表されないのか

本部が金額を公表しない理由について、各社は説明していません。したがってここから先は推測になりますが、構造的な理由はいくつか考えられます。

ひとつは、投資額が物件によって大きく変わることです。ジムは坪数が大きく、内装工事とマシン設備が投資額の大半を占めます。20坪のパーソナルジムと100坪の24時間ジムでは、桁が変わります。同じブランドでも、物件の状態によって内装費は倍以上変動します。一律の数字を出しにくいのは事実でしょう。

もうひとつは、加盟希望者を選別する意図です。BEYONDの募集条件には「初期費用で2,000万円以上のご用意が可能な方」という記載があり、会社謄本・決算書・課税証明書の開示が必須とされています。金額を先に出さず、説明会で個別に提示する形は、相手の資力を確認してから話を進める設計と整合します。

いずれにせよ、加盟を検討する側から見た結論は変わりません。ネットで調べても、ジムFCの正確な費用は出てこない。出てくるのは比較メディアや個人ブログの推定値であり、しかも数字が一致しません。

たとえばエニタイムフィットネスの場合、加盟金500万円という記述は複数の媒体で一致していますが、ロイヤリティは「月9万円の固定制」とする媒体と「月75,000円の定額制」とする媒体があります。初期投資総額も「6,000万円前後」から「8,000万〜1億円」まで幅があります。

本気で加盟を検討するなら、本部に問い合わせる以外に方法はありません。この記事を含め、外部の情報は参考値の域を出ないと理解しておく必要があります。

ジムのフランチャイズが「節税になる」とは、具体的に何の話か

chocoZAPの募集ページに掲げられている節税効果について、仕組みを整理しておきます。ここは投資先としてジムを検討する人にとって、中心的な論点になるためです。

ジムの開業には、トレーニングマシンと内装への投資が必要です。これらは減価償却の対象になります。購入した年に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数にわたって分割して経費計上していくのが原則です。

ここで、同社のページが言及しているのが「中小企業経営強化税制」です。一定の要件を満たす設備投資について、通常の減価償却ではなく即時償却(購入年度に取得価額の全額を経費計上できる)または税額控除を選択できる制度です。

本業で利益が出ている法人にとって、この意味は明確です。利益が出た年度に設備投資をして、その分を損金として計上すれば、課税所得を圧縮できます。ページに掲載されているオーナーの声が「本業の利益が出たタイミングで、決算対策として加盟しました」「初年度に大きな損金を作れる」と語っているのは、この構造を指しています。

ただし、いくつか注意が必要です。

制度の適用には条件があります。同社のページにも「税制の適用には条件があります。詳細は税理士等へご相談ください」という注記があります。事業者の規模、設備の種類、認定の手続きなど、満たすべき要件は複数あります。

そして、節税は納税の繰り延べであって、消滅ではありません。即時償却で初年度に大きな損金を作れば、その分だけ翌年度以降の減価償却費は減ります。トータルで見れば経費の総額は変わらず、計上するタイミングが前倒しになるだけです。

さらに根本的な点として、節税のために赤字事業を持つのは本末転倒です。設備投資による損金計上が意味を持つのは、その事業自体が継続的に利益を生む場合か、少なくとも損失が節税額を下回る場合に限られます。

この記事は税務の解説を目的としていないため、これ以上は踏み込みません。ただ、ジムのフランチャイズが「節税」という切り口で売られているという事実は、この商材がどういう客層に向けられているかを示しています。

訴求の中身を並べてみる

ジムのフランチャイズ本部が、公式ページで何を掲げているか。金額以外の部分を並べると、傾向が見えます。

ブランド 主な訴求内容
エニタイムフィットネス 世界5,500店舗以上のブランド力/最短3年で回収可能/コアタイム以外は無人運営で営業利益30%も/複数店舗を経営するオーナー多数
chocoZAP 設備投資による節税効果/日本一の会員数によるブランド力/無人運営による低ランニングコスト/直営店譲渡モデルあり
カーブス 加盟企業350社超/テリトリー制/自治体との連携・介護予防事業の受託/地域密着で継続的な企業運営
かたぎり塾 7年で340店舗超/継続率11か月(業界平均3か月程度)/加盟から最短2.5か月で出店/オーナーの多くが未経験
BEYOND オーナーの100%が未経験/店舗CLOSE実績ゼロ・撤退企業ゼロ/最短3か月で開業/半年で投資回収の実績

出典:各社公式フランチャイズ募集ページおよびフランチャイズ比較メディア掲載内容よりコーチムが整理(2026年8月時点)

この表を眺めると、訴求されているものが3種類に分かれることが分かります。

ひとつはブランド力です。店舗数、会員数、知名度。「うちの看板を借りれば集客できる」という訴求で、これはフランチャイズの本質的な価値でもあります。

ふたつめは手離れの良さです。無人運営、未経験でも可、本部のサポート。「あなたが働かなくても回ります」という訴求で、これは投資先を探している層に向けたものです。

みっつめは回収の速さです。最短3年、半年で回収の実績、営業利益30%。これも投資判断の材料そのものです。

注目すべきは、トレーニングの質や指導内容についての訴求が、ほとんど見当たらないことです。かたぎり塾の「継続率11か月」は指導品質の指標として読めますが、これも収益の安定性を示す文脈で使われています。

加盟を募る側から見れば、これは当然の設計です。加盟希望者が知りたいのは、自分が儲かるかどうかであって、会員が痩せるかどうかではないからです。

そもそもフランチャイズに「加盟しない」という選択肢はあるのか

業態が、ジム開業の選択肢を決めている

ここまでフランチャイズの話をしてきましたが、そもそもジムを開くのに加盟は必須ではありません。自分のブランドで開業する道もあります。

ただし、その道が開いている業態と、事実上閉じている業態があります。

前回の記事で集計した、業態ごとの主要ブランドのシェアを再掲します。

業態 主要ブランドのシェア 自分の看板で開業できるか
小規模型 カーブス1社で93.5% 事実上できない
24時間型 chocoZAP+エニタイムで66.1% できるが競合が重い
ヨガ型 LAVA単独で24.4% できる
パーソナル型 主要8ブランド計で34.2% できる
総合型 新規開業が年間11施設 そもそも新規参入がない

出典:コーチム調べ(2026年8月)。分母は矢野経済研究所の業態別施設数(2025年8月時点)

小規模型は、実質カーブス1社の市場です。業態全体2,156施設のうち2,015店がカーブス。ここに独自ブランドで参入するというのは、市場のほぼ全部を握っている相手と、同じ土俵で戦うことを意味します。この業態を選ぶということは、加盟を選ぶということです。

24時間型も、上位2ブランドで3分の2を占めています。自分の看板で24時間ジムを開くこと自体は可能ですが、商圏にエニタイムやchocoZAPが出店してきたとき、ブランド認知度と会員の相互利用という点で不利になります。

逆にパーソナル型は分散しています。主要8ブランドを合計しても34.2%で、残る3分の2は中小ブランドと個人経営の店です。街の個人経営パーソナルジムが無数に存在するのは、この構造の反映です。

つまり、こういうことです。「個人でやるか、加盟するか」は独立した二択ではありません。業態を選んだ時点で、選べる形態はかなりの部分決まっています。

それでも自分の看板でやりたい人へ

パーソナルジムなら独立開業できる。これは事実です。ただし、注意すべき点があります。

「分散している」ことは、参入しやすさと同時に、生き残りの難しさも意味します。

パーソナル型に支配的なブランドがいないのは、参入障壁が低いからです。10坪から20坪、マシン数台、トレーナー1名で開業できる。だから多くの人が始めます。そして同じ理由で、多くの店が入れ替わります。

この業態で売っているのは設備ではなく、トレーナーの指導です。設備は購入できますが、指導力と集客力は購入できません。フランチャイズに加盟すれば本部の集客支援を受けられますが、独立開業ならそれも自前です。

本記事の趣旨はフランチャイズの整理なので、独立開業についてはここまでにとどめます。ただ、「自分の看板を持ちたい」という動機と、「投資先を探している」という動機は、まったく別のものだという点だけは押さえておく価値があります。

前者はトレーナーとして働いていた人が、自分の指導を自分の名前で売りたいと考える動機です。後者は資金の投下先を探していて、たまたまジムが候補に挙がっているという状態です。この2人は、同じ「ジム開業」という言葉を使いながら、まったく違うものを見ています。

ちなみに、ジムに通う側から見た「続かない理由」は、開業する側にとっても無関係ではありません。退会率がそのまま収益を左右するからです。この点についてはなぜ多くの人がダイエットに失敗するのかで、続かない構造そのものを整理しています。

2種類のジム開業者が、同じ言葉を使っている

ジム開業を検討する2つの層の比較。自分の看板で開きたい人はトレーナー出身で他のパーソナルジムと比較し、投資先を探している人は経営者や不動産オーナーでコインランドリーや買取店と比較する。両者の視界はほとんど重なっていない。出典:コーチム調べ2026年8月

ここまでの内容を、別の角度から整理します。

「ジムを開きたい」という言葉を使う人は、大きく2種類に分かれます。そしてこの2人は、まったく違うものを見ています。

自分の看板で開きたい人 投資先を探している人
元の職業 トレーナー・インストラクター 経営者・不動産オーナーなど
動機 自分の指導を自分の名前で売りたい 資金の投下先を探している
検討している業態 主にパーソナル型 無人で回せる業態
比較している相手 他のパーソナルジム コインランドリー・買取店など
知りたいこと 自分のやり方が通用するか いくらで、何年で回収できるか
本部に求めるもの (そもそも加盟しない場合も) 手離れの良さ・サポート

出典:各フランチャイズ本部の訴求内容および比較メディアの分類よりコーチムが整理

この2人が見ている画面は、物理的に違います。

トレーナーが検索するのは「パーソナルジム 開業」であり、出てくるのは内装事例や集客方法の記事です。そこにコインランドリーは出てきません。

投資先を探している人が見るのは、フランチャイズ比較サイトの一覧画面です。そこには無人業態が並んでおり、ジムはそのなかの一項目です。そして多くの場合、パーソナルジムはこの一覧に載っていません。トレーナーが常駐する業態は、無人経営のカテゴリに入らないからです。

つまり、両者の視界はほとんど重なっていません。

この非対称は、本部の側も理解しています。だからchocoZAPは節税専用のページを作り、決算対策を訴求している。かたぎり塾は「オーナー様の多くはジム経営未経験」と書いている。誰に向けて何を言うかが、明確に設計されています。

開業を検討する側としては、自分がどちらの立場で情報を見ているのかを自覚しておくのが実務的です。トレーナーが投資家向けの資料を読めば「儲け話ばかりで指導の話がない」と感じるでしょうし、投資家がトレーナー向けの記事を読めば「精神論ばかりで数字がない」と感じるはずです。どちらも間違っていません。向けられている相手が違うだけです。

ジムのフランチャイズ条件が分かったあと、何を見るのか

比較メディアに条件が載っているブランドもあれば、載っていないブランドもあります。いずれにせよ、金額だけを見て判断するわけにはいきません。

説明会に行く前に確認できることを、いくつか挙げます。

1. フランチャイズ比率

その本部が、直営とフランチャイズのどちらで店舗を増やしてきたか。これは公表されている場合があります。

エニタイムフィットネスの場合、国内1,235店舗のうちフランチャイズ店が1,036店。比率にして約84%です(2026年3月期第3四半期時点)。直営は181店にとどまります。

この数字が意味するのは、この本部がフランチャイズを主軸として設計されているということです。加盟店が主体である以上、加盟店が成立しなければ本部も成立しません。

一方、chocoZAPはフランチャイズ募集を2025年5月に開始したばかりで、既存店の約10%をフランチャイズ化する計画が公表されています。直営中心で拡大してきた本部が、後からフランチャイズを始めた形です。

カーブスは加盟企業366社、インストラクター7,000名強という規模が公表されています。

2. 店舗数の推移と、閉店の有無

店舗が増えているか減っているかは、公表資料や公式サイトの店舗一覧から確認できます。

BEYONDは「2023年3月現在、店舗CLOSEはゼロ。撤退企業もゼロ」と公表しています。かたぎり塾は7年で340店舗以上、直近では月5店舗以上のペースで出店していると説明しています。

ただし、こうした数字は本部側が選んで公表しているものです。閉店した店舗数を積極的に公開する本部はありません。

3. 契約から開業までの期間

意外に見落とされがちですが、これは資金計画に直結します。

エニタイムフィットネスの公式ページには、物件探しからフランチャイズ契約まで2〜3か月、キックオフからオープンまで4〜5か月と明記されています。合計で6〜8か月。この間、家賃は発生しても売上は立ちません。

対してかたぎり塾は「加盟から最短2.5か月、長くても半年程で出店可能」としています。パーソナルジムは坪数が小さく内装工事も軽いため、立ち上がりが早いという構造的な違いがあります。

4. 直営店譲渡モデルの有無

chocoZAPのフランチャイズには、新規出店モデルのほかに直営店譲渡モデルがあります。すでに営業している直営店を引き継ぐ形式です。

新規出店なら物件探しから始まり、会員はゼロからの積み上げになります。既存店の譲渡なら、すでに会員がいる状態から始まります。リスクの性質がまったく違うため、同じブランドの加盟でも検討の仕方が変わります。

5. 何と比較されているか、を意識する

最後に、これは情報というより姿勢の話です。

ジムのフランチャイズ資料を取り寄せると、そこには魅力的な数字が並んでいます。しかし前半で見たとおり、ジムは無人業態という棚のなかの一商品として売られています。

同じ棚には、5坪・自己資金300万円から始められる買取店があります。ロイヤリティ0円を掲げる本部もあります。ジムの資料だけを見て判断するのは、棚の一部しか見ていないことになります。

逆に、ジムにしかない要素もあります。月額課金による収益の安定性、健康産業という社会的な位置づけ、設備投資による償却メリット。これらは買取店にはない特徴です。

判断すべきは「ジムは儲かるか」ではなく、「自分にとって、この棚のなかでジムが最適か」という問いになります。

まとめ|ジムのフランチャイズ加盟条件は、どこで分かるのか

整理します。

ジムは総合型から機能が切り出され、床面積と初期投資が下がりました。その結果、ジムは「設備を置いて無人で回す店舗ビジネス」として抽象化できるようになりました。

フランチャイズ比較メディアは、ジムを「無人経営できるフランチャイズ」に分類しています。同じ棚に並ぶのは、コインランドリー、セルフエステ、無人販売所、買取専門店です。

そしてRIZAPは、chocoZAPのフランチャイズを節税・決算対策の手段として売っています。公式ページに「決算間近の法人様もご相談ください」と書かれている以上、これは解釈ではなく事実です。

そして条件の書かれ方にも特徴があります。主要8ブランドはいずれも、公式サイトに金額を掲載していませんでした。公式ページにあるのは「最短3年で回収」「半年で投資回収の実績」といった結果の数字だけです。

一方、フランチャイズ比較メディアには詳細が載っている場合があります。chocoZAPはロイヤリティが売上の15%、自己資金の目安が700万円以上、開業準備費220万円、開業2年目の売上約2,112万円・営業利益約708万円で約4年での回収という数字まで公開されています。

条件が隠されているのではなく、書かれる場所が分かれている。公式サイトは会員が見る場所であり、比較メディアは加盟希望者しか見ない場所です。読者が分離されているからこそ、後者では詳しく書ける。

そして加盟するかしないかは、業態を選んだ時点でかなり決まっています。小規模型はカーブス1社で93.5%を占めており、事実上加盟以外の道がありません。パーソナル型は分散しており独立の余地がありますが、参入しやすさは入れ替わりの激しさと表裏です。

この記事の限界

金額は扱っていません。本文中でエニタイムの加盟金や初期投資に触れた箇所がありますが、いずれも二次情報であり、公式の裏づけはありません。数字が媒体によって食い違っていることも本文に記載したとおりです。

収益性は扱っていません。損益分岐点となる会員数、投資回収期間、月次のキャッシュフロー。これらは業態とブランドと立地によって変わるため、別に整理すべきテーマです。

調査対象は主要8ブランドです。ジムのフランチャイズ本部はこれ以外にも多数存在します。本記事の「公式サイトに金額の記載がない」という記述は、調査した8社について、調査時点で確認した範囲での事実です。

比較メディアの掲載内容は、本部が提供した情報です。本記事に掲載したchocoZAPの条件は、フランチャイズWEBリポートの掲載内容にもとづきます。収支シミュレーションについては、同社が「直営店実績を基にしたシミュレーションであり、開業後の収益を保証するものではありません」と注記しています。

公式サイトと比較メディアで記載が分かれる理由は、各社が説明していません。本文で挙げた読者層の違いという説明は構造からの推測であり、本部の意図を確認したものではありません。

比較メディアの分類は変動します。カテゴリ構成や掲載ブランドは随時更新されるため、本記事の記述は2026年8月時点のものです。

データの引用について

本記事の調査結果は、出典を明記いただければ引用いただけます。

フランチャイズ比較メディアにおいて、フィットネスジムは「無人経営できるフランチャイズ」に分類され、コインランドリー・セルフエステ・無人販売所・買取専門店と並べて掲載されている(出典:コーチム調べ・2026年8月)

ジムの主要フランチャイズ8ブランドの公式募集ページには、加盟金・ロイヤリティ・初期投資額の記載がなかった。一方、フランチャイズ比較メディアには条件が掲載されている場合がある(出典:コーチム調べ・2026年8月)

RIZAPはchocoZAPのフランチャイズについて、節税・決算対策を訴求する専用ページを公開している(出典:chocoZAP公式/コーチム調べ)

小規模型ジムはカーブス1社が業態シェアの93.5%を占めており、独自ブランドでの参入余地は事実上ない(出典:コーチム調べ・2026年8月)

数値の解釈や、個別ブランドの条件については、各社の公表資料および本部への直接の問い合わせでご確認ください。

編集後記

この記事を書くきっかけは、chocoZAPの節税向けページを見つけたことでした。

ジムを比較するメディアを運営していると、どうしても利用者側の視点で物を見ます。マシンの充実度、料金、通いやすさ、トレーナーの質。そういうものが価値だと思っていました。

ところが、供給する側の一部にとって、ジムは決算対策の手段でした。「初年度に大きな損金を作れる」という言葉が、加盟のメリットとして掲げられている。そこにトレーニングの話は出てきません。

これを不誠実だとは思いません。設備投資による償却は正当な経済行為ですし、動機が何であれ、店舗が増えて通える場所が増えるなら利用者にとっては利益です。

ただ、ジムという言葉が指すものが、立場によってここまで違うのだということは、記録しておく価値があると思いました。

次回は、この続きとして収益性を扱う予定です。同じ棚に並ぶ業種のなかで、ジムはどういう数字の商売なのか。整理してみます。

コーチム編集長 木村涼
フィットネスジム4社で挫折した後、自己流のダイエットで3ヶ月10kg減。その後パーソナルトレーニングの指導を受けさらに5kg減を達成。NSCA-CPT取得。特定のジムと金銭的な利害関係を持たない立場から、比較記事を書いています。

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この記事を書いた人

コーチム編集長。複数の大手フィットネスジムで挫折後、自己流(通勤運動・自重トレ・AI食事管理)で3ヶ月10kg減量を達成。さらにパーソナルトレーニングの指導で追加5kg減を実現し、専門指導の価値を実感。NSCA-CPT取得。特定のジムと利害関係を持たず、「続けられるパーソナルジム選び」をテーマに中立的な立場で発信。

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