ジムを開業するなら、どの種類にするか|ライザップ型・エニタイム型・カーブス型・ヨガ型・プール型の違いを全部調べた【2026年】

コーチム編集長 木村 涼

この記事を書いた人

木村 涼コーチム編集長/NSCA-CPT取得

30代女性。大手の4つのジムで挫折 → 自己流で3ヶ月10kg減(57→47kg) → パーソナル指導でさらに5kg減。挫折と減量の全記録はこちら。特定のジムと金銭的な利害関係を持たない立場から、紹介料の有無で評価を歪めずに書いています。

4ジム挫折57→47kgさらに−5kgNSCA-CPT取得

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「ジムを開きたい」と考えたとき、最初に決めなければならないのは立地でも資金でもありません。どの種類のジムをやるかです。

日本には現在、大きく分けて5種類のジムがあります。ライザップのようなパーソナルジム。エニタイムフィットネスのような24時間ジム。カーブスのような女性専用の小規模ジム。LAVAのようなホットヨガスタジオ。そして、プールもスタジオも風呂もある総合型のスポーツクラブ。

この5つは、同じ「ジム」という言葉でくくられていますが、必要な資金も、床面積も、人の数も、儲け方も、まったく別の商売です。そして2026年現在、この5つは同じ市場にいながら、まったく違う方向へ進んでいます。片や営業利益が前年の6倍になった会社があり、片や30億円の減損損失を計上して「スポーツクラブへの依存から脱する」と宣言した会社があります。

この記事では、日本のジム市場がなぜ5つに分かれたのか、それぞれが今どうなっているのか、そしてこれからどこへ向かうのかを、公表されている一次データだけで整理します。開業を検討している方が、選択肢の全体像をつかむための地図として使えるように書きました。

目次

この記事でわかること

  • 日本のジムは何種類あり、それぞれ何施設あるのか
  • なぜ「プールのあるジム」が減り、「マシンだけのジム」が増えたのか
  • 2026年の決算で、どの業態が伸びてどの業態が苦しんでいるのか
  • 各社が自分の口で語っている「これから10年」の計画

先に断っておくと、この記事は「どれが儲かるか」には踏み込みません。それは業態を選んだあとの話であり、初期投資や損益分岐点を細かく比べる必要があるためです。ここで扱うのは、そもそもどんな選択肢があるのかという一段手前の話です。

まず全体像|日本のジムは13,876施設、市場規模は7,100億円

日本のジム業態別施設数。24時間型5,034施設36.3%、パーソナル型2,368施設17.1%、小規模型2,156施設15.5%、ヨガ型1,877施設13.5%、総合型1,240施設8.9%。計13,876施設。出典:矢野経済研究所2025年8月時点/コーチム調べ

矢野経済研究所が2025年8月時点で集計した業態別の施設数は、次のとおりです。

業態 施設数 構成比 代表的なブランド
24時間型(エニタイム型) 5,034 36.3% エニタイムフィットネス、chocoZAP
パーソナルトレーニングジム(ライザップ型) 2,368 17.1% ライザップ、BEYOND、かたぎり塾
小規模型(カーブス型) 2,156 15.5% カーブス
ヨガ型 1,877 13.5% LAVA、カルド
総合型(プール型) 1,240 8.9% ルネサンス、セントラルスポーツ、コナミスポーツ
その他 1,201 8.7%
合計 13,876 100%

出典:矢野経済研究所「フィットネスクラブ市場に関する調査(2025年)」

市場規模のほうは、帝国データバンクの調査で7,100億円(2024年度・事業者売上高ベース)。黒字企業の割合は48.8%です。つまり半数以上の事業者が黒字を出せていない市場でもあります。この数字は最初に頭に入れておく価値があります。

もうひとつ、開業を考えるうえで避けて通れない数字があります。日本のフィットネス参加率は4〜5%です。欧米では10〜20%とされているので、人口比でいえば半分から4分の1しかジムに通っていない計算になります。

この「4〜5%」という数字は、見方によって正反対の意味を持ちます。市場が小さいと読むこともできますし、伸びしろが3倍以上あると読むこともできます。後述するように、主要各社はそろって後者の立場をとっています。そしてその前提のうえに、各社の出店計画が組まれています。

第1幕:ジムが「施設」だった時代

プール・スタジオ・風呂がワンセットだった

今でこそジムには多様な選択肢がありますが、かつて日本で「スポーツクラブ」といえば、ほぼ一種類しかありませんでした。総合型です。

プールがあり、スタジオがあり、マシンジムがあり、風呂とサウナがある。子どもはスイミングスクールに通い、大人は仕事帰りにマシンを使い、休日は家族で来る。ひとつの建物のなかに、あらゆる年齢と目的の利用者を収容するという発想です。

この形式には、はっきりした特徴がありました。膨大な床面積と初期投資が必要だったことです。

25メートルプールを作るには、水そのものの重量に耐える構造と、濾過設備と、加温設備が要ります。スタジオには防音と鏡と床の弾力が要ります。風呂とサウナには給排水と大型のボイラーが要ります。これらをすべて備えた施設は、当然ながら数千坪規模になり、投資額は億単位になります。

結果として、総合型は資本を持つ企業しか作れない業態でした。個人が「ジムを開こう」と思い立って始められるものではなかったのです。ルネサンス、セントラルスポーツ、コナミスポーツといった名前が並ぶのは偶然ではありません。いずれも企業体として運営されています。

「全部入り」が持っていた強さと、抱えていた弱さ

総合型の強みは明快でした。一度会員になれば、何でもできる。泳ぎたい日は泳ぎ、走りたい日は走り、疲れた日は風呂だけ入って帰る。家族全員が別々の目的で同じ施設を使えます。

しかし裏を返せば、これは使わない設備の分まで会費を払う仕組みでもありました。マシンしか使わない人も、プールの維持費を負担している。ヨガにしか来ない人も、サウナの燃料費を負担している。

月会費が1万円前後になるのは、設備が豪華だからではなく、維持しなければならない設備が多いからです。そしてこの構造は、利用者が「自分は全部は使っていない」と気づいた瞬間に、弱点に変わります。

もうひとつ、総合型には運営上の重さがありました。人です。プール監視員、スイミングのコーチ、スタジオのインストラクター、フロントスタッフ、清掃。営業時間中つねに複数の有資格者が常駐していなければ、施設が回りません。人件費は固定費として重くのしかかります。

この「設備の重さ」と「人の重さ」は、市場が拡大している間は問題になりませんでした。会員数が増えれば吸収できるからです。しかし日本のフィットネス参加率は、長らく4〜5%のあたりで足踏みを続けました。パイが増えないなかで重い固定費を抱え続けることの意味が、次の時代に問われることになります。

なぜ「全部入り」から始まったのか

そもそも、なぜ日本のジムは総合型から始まったのでしょうか。

ひとつには、スイミングスクールが源流にあったことが挙げられます。セントラルスポーツは現在も「セントラルスイムクラブ」の名称で施設を運営しており、同社の店舗一覧にはスイミングを冠した施設が並びます。子ども向けの水泳教室として始まり、大人向けの設備を後から加えていった系譜です。

プールを持っているなら、そこに更衣室と風呂が要ります。せっかく箱があるならスタジオも作る。マシンも置く。設備が設備を呼ぶ形で、施設は大きくなっていきました。

もうひとつは、当時の日本において「運動をしに行く場所」という概念自体が新しかったことです。何をしたいか分からない人に対しては、選択肢を全部並べて見せるのが合理的でした。泳ぎたい人も、走りたい人も、風呂に入りたい人も、まずは来てもらう。

この発想は、市場の立ち上がり期には正しかったといえます。問題は、市場が成熟したあとも同じ形を維持しなければならなかったことです。一度作ったプールは、簡単には埋められません。

会員は増えたが、参加率は動かなかった

日本のフィットネス参加率は長らく4〜5%で推移してきました。欧米の10〜20%と比べて明らかに低い水準です。

この数字が意味するのは、日本ではジムに通うことが一般的な習慣になっていないということです。運動をする人は学校の部活や地域のスポーツで済ませ、大人になってからわざわざ有料の施設に通う文化が育たなかった。

総合型はこの限られた層を、大きな箱で受け止めようとしました。しかし95%は最初から来ていません。そして残りの5%のなかで、「全部は要らない」という層が離れ始めます。ここから分解の時代が始まります。

第2幕:分解の時代——「全部入り」から機能が切り出されていく

総合型ジムが持っていたプール・スタジオ・マシンジム・風呂サウナ・トレーナーの機能が、24時間型5,034施設、パーソナル型2,368施設、小規模型2,156施設、ヨガ型1,877施設に分解された図。かつては企業しか作れなかったが、個人でも始められる業種に変わった。出典:コーチム調べ2026年8月

誰も総合型を倒そうとはしなかった。ただ機能を抜き出した

2000年代以降に起きたことを一言でいえば、総合型が持っていた機能が、ひとつずつ切り出されて単品で売られるようになったということです。

重要なのは、新しい業態のどれもが「総合型より優れた総合型」を作ろうとはしなかった点です。そうではなく、総合型の一部分だけを取り出して、それを安く、あるいは深く提供した。

切り出された機能 生まれた業態 代表ブランド
スタジオのヨガ ヨガ型 LAVA、カルド
マシンジム(+24時間化) 24時間型 エニタイムフィットネス
女性向けの軽い運動 小規模型 カーブス
トレーナーによる指導 パーソナル型 ライザップ、BEYOND

この分解が起きた理由は、需要側と供給側の両方にあります。

需要側の理由:「全部は要らない」という気づき

利用者からすれば、月1万円払って週2回マシンを使うだけなら、マシンだけの施設が月7,000円で使えるならそちらでいい、という判断は自然です。

ヨガをやりたい人にとって、プールもサウナも不要です。筋トレをしたい人にとって、スイミングスクールの設備は関係ありません。総合型が「全部入り」であることは、大多数の利用者にとって過剰でした。

そして「自分は何のためにジムへ行くのか」がはっきりしている人ほど、単機能の業態を選びます。逆にいえば、総合型は目的がはっきりしていない層と、家族単位の利用者に依存する構造へと押し込まれていきました。

供給側の理由:作れる人が一気に増えた

より大きかったのは供給側の変化です。機能を切り出したことで、必要な床面積と初期投資が劇的に下がりました。

プールを作らなければ、特殊な構造は要りません。風呂とサウナを置かなければ、大型のボイラーも給排水工事も不要です。マシンだけなら、路面店でもビルの2階でも成立します。ヨガスタジオなら、極端にいえば床と鏡と空調があれば始められます。パーソナルジムに至っては、マシン数台が置ける10坪から20坪程度の空間で開業できます。

この変化がもたらしたのは、「ジムは企業が作るもの」から「個人でも始められるもの」への転換でした。そしてこの転換こそが、その後のフランチャイズ展開の土台になります。設備が軽ければ加盟金と初期投資を抑えられ、加盟希望者の裾野が一気に広がるからです。

24時間化という発明

分解のなかでも、とりわけ大きな意味を持ったのが24時間型の登場でした。

マシンだけを残したことで、常駐スタッフを置かない時間帯を作れるようになったのです。プールがあれば監視員が要ります。スタジオでレッスンをやるならインストラクターが要ります。しかしマシンだけなら、深夜や早朝はスタッフ不在でも運営できます。

これは単に「便利になった」という話ではありません。同じ床面積から、より長い時間、売上を生めるようになったという収益構造の変化です。営業時間が2倍になれば、理論上は同じ設備で2倍の会員を収容できます。

エニタイムフィットネスが日本で急拡大したのは、この構造をフランチャイズで展開したからです。2026年3月期第3四半期時点で、国内1,235店舗のうちフランチャイズ店が1,036店。実に8割以上が加盟店です。企業が直営で増やしたのではなく、個人や中小企業が加盟することで店舗網が広がったことを、この比率は示しています。

女性専用という切り口——カーブスの30分

カーブスが切り出したのは、機能というより利用者層と時間でした。

女性専用、予約不要、1回30分、マシンは油圧式で重りの付け替えが不要。鏡張りの空間で男性の視線を気にする必要がなく、着替えも化粧直しも要らない。「ジムに行くのは面倒だ」と感じていた層の障壁を、ひとつずつ取り除いた設計です。

この業態が興味深いのは、床面積が小さいことです。プールもスタジオも不要で、マシンは円形に並べるだけ。2階や地下、商店街の空き店舗、スーパーの一角といった、総合型では絶対に成立しない立地に出店できます。

その結果として何が起きたかは、後段の店舗数の比較で見ていきます。

ヨガ型——レッスンという単位で売る

ヨガスタジオが切り出したのは、総合型のスタジオプログラムでした。

この業態の特徴は、売っているのが設備ではなくレッスンの時間枠だという点にあります。24時間型がいつでも使える自由を売っているのに対し、ヨガ型は決まった時間に決まった内容を提供します。予約が必要で、開始時刻が決まっており、インストラクターがつく。

ホットヨガの場合はさらに設備要件が加わります。室温と湿度を保つための空調と、大量の発汗に対応するシャワールーム。床と鏡だけでは成立しません。

それでも総合型と比べれば設備は軽く、プールのような特殊構造も不要です。駅前のビルの上階でも成立します。

LAVAは全国に458店舗を展開しており、これは業態全体1,877施設の24.4%にあたります。24時間型ほどの寡占には至っておらず、複数のブランドと個人経営のスタジオが併存する構造です。

新規開業データで見ると、ヨガ型は年間348施設。既存1,877施設に対する比率でいえば、5業態のなかでもっとも高い伸び方をしています。

パーソナルジム——設備ではなく人を売る(開業のハードルが最も低い)

もっとも極端な形で機能を切り出したのがパーソナルジムです。ここで売られているのは設備ではなく、トレーナーによる指導と、食事管理を含めた伴走です。

ライザップが2012年に登場したとき、その価格は当時の常識から見て異例でした。2ヶ月で数十万円。月1万円の総合型と比べれば、桁がひとつ違います。しかし「結果にコミットする」という約束によって、この価格帯が成立することが証明されました。

供給側から見れば、パーソナルジムは最小の設備で最大の単価が取れる業態です。10坪から20坪、マシン数台、トレーナー1〜2名。この構成で、会員1人あたり数十万円の売上が立ちます。

ただしこれは裏返せば、トレーナーの質と稼働率に収益が全面的に依存するということでもあります。設備は複製できますが、指導力は複製できません。パーソナルジムのフランチャイズ展開が、他業態と違う難しさを抱えているのはこのためです。

なお、ダイエット目的でジムを選ぶ場合、業態の違いは「続けられるかどうか」に直結します。この点についてはなぜ多くの人がダイエットに失敗するのかで、続かない構造そのものを整理しています。開業を検討する立場からも、自分が選ぼうとしている業態がどういう理由で退会されるのかを知っておく意味はあります。

第3幕:再統合と価格破壊——chocoZAPが起こしたこと

分解されたものを、もう一度ひとつにまとめた

2022年、ライザップは新しい業態を立ち上げます。chocoZAPです。

この業態が特異だったのは、分解された機能を、もう一度ひとつの店舗に集めた点にあります。マシンがあり、セルフエステがあり、セルフ脱毛があり、店舗によってはマッサージチェアやワークスペースやカラオケまである。総合型が持っていた「何でもできる」という性質を、別の形で復活させたといえます。

ただし決定的に違ったのは価格です。月額数千円。総合型の3分の1以下、24時間型と比べても安い水準に設定されました。

これが成立した理由は、すべてを無人化・セルフ化したことにあります。エステもトレーニングも脱毛も、スタッフが施術するのではなく、利用者が自分で機械を操作する。人件費という総合型最大の重しを、構造から取り除いたわけです。

2年10ヶ月で2,000店舗という速度

chocoZAPの出店速度は、日本の店舗ビジネスの歴史のなかでも異例でした。2022年9月の本格展開から2年10ヶ月で約2,000店舗。同社の説明会では「出店のスピードはギネス記録に載るほど」という表現も使われています。

この急拡大は、当然ながら痛みを伴いました。2023年3月期には49億円の営業損失を計上しています。24時間稼働による機器の消耗が想定を超え、エアコンの修理代だけで月1億円を超えた時期があったことも、決算説明会で明かされています。

しかしこの投資は回収されました。詳しくは次章で見ます。

同じ時期、パーソナルジムの開業はフランチャイズで増えた

chocoZAPが低価格で面を取りにいく一方、パーソナルジムの側では別の動きが起きていました。フランチャイズ化による店舗数の急増です。

BEYOND、かたぎり塾、REAL WORKOUTといったブランドが、加盟店方式で全国に広がりました。前述のとおりパーソナルジムは10坪から20坪で開業でき、初期投資が相対的に小さい。トレーナーとして働いていた人が独立する受け皿として、フランチャイズは自然な形式でした。

この結果、パーソナルジムは施設数2,368という規模になっています。ただし24時間型のような寡占構造にはなっておらず、多数のブランドが分散して存在しているのが特徴です。

数字が示す、種類別の新規開業の勢い

ジムの新規開業1,266施設の業態別内訳。24時間型513施設40.5%、ヨガ型348施設27.5%、パーソナル型278施設22.0%、小規模型43施設3.4%、総合型はわずか11施設0.9%。出典:矢野経済研究所2024年9月〜2025年8月/コーチム調べ

ここまでの流れが、新規開業のデータにはっきり表れています。矢野経済研究所が集計した2024年9月から2025年8月までの1年間の新規開業は、計1,266施設。その内訳が次のとおりです。

業態 新規開業 構成比 既存施設数
24時間型 513 40.5% 5,034
ヨガ型 348 27.5% 1,877
パーソナル型 278 22.0% 2,368
小規模型 43 3.4% 2,156
総合型 11 0.9% 1,240

出典:矢野経済研究所(2025年8月時点)

この表でもっとも目を引くのは、総合型の新規開業がわずか11施設という点です。既存1,240施設に対して0.9%。事実上、新しく作られていません。

ヨガ型の27.5%も注目に値します。既存施設数では1,877と5業態のなかで4番目ですが、新規開業では2位。ストックでは小さいがフローでは大きい、つまり今まさに増えている業態だということです。

もうひとつ、業態を問わず共通する傾向として、新規開業の68.4%が駅前型だという集計があります。車社会向けのロードサイド型ではなく、徒歩圏の駅前に出す動きが主流になっています。

第4幕:2026年、上場5社の決算が示した明暗|どの種類が伸びているか

同じ市場、同じ時期、正反対の結果

ジム関連上場5社の直近決算比較。RIZAPグループ営業利益111億円で前期比488.9%増、カーブスHD営業利益61.5億円で22.0%増の過去最高、Fast Fitness Japan営業利益33.0億円で35.2%増、ルネサンス純損失21.1億円で減損30.6億円計上、セントラルスポーツ経常利益1.1億円で36.6%減。出典:各社決算短信/コーチム調べ2026年8月

ここまでは施設数の話でした。ここからは、実際に儲かっているのかどうかを見ます。

日本のジム市場の便利なところは、5業態それぞれに上場企業が存在することです。上場企業は決算を公表する義務があるため、業績も出店計画も外部から確認できます。

企業 業態 直近業績
RIZAPグループ パーソナル・コンビニジム 2026年3月期 営業利益111億円(前期比488.9%増)
カーブスホールディングス 小規模型 2026年8月期3Q 営業利益61.5億円(同22.0%増)
Fast Fitness Japan 24時間型 2026年3月期3Q 営業利益33.0億円(同35.2%増)
ルネサンス 総合型 2026年3月期 純損失21.1億円(前期は純利益7.7億円)
セントラルスポーツ 総合型 2026年3月期1Q 経常利益1.1億円(同36.6%減)

出典:各社決算短信・決算説明資料(コーチム調べ・2026年8月)

同じ市場で、同じ時期に、業態によってここまで結果が分かれています。以下、1社ずつ中身を見ていきます。

RIZAPグループ——営業利益が前年の6倍に

2026年3月期の連結業績は、売上収益1,672億円(前期比2.2%減)に対し、営業利益111億円(同488.9%増)。実に前年の6倍です。

注目すべきは、減収なのに大幅増益だという点です。同社はこの1年半、新規出店と広告宣伝を意図的に半減以下に抑えました。その結果として会員数は一時減少しましたが、収益構造の立て直しを優先したのです。

決算説明資料によれば、広告宣伝費は前年比46.2%(つまり53.8%削減)、固定費は同72%、変動費は同82.3%まで圧縮されています。24時間稼働で消耗する機器の修理を内製化したことも、収益改善に寄与したと説明されています。

財務面では純資産比率39.5%と過去最高水準に達し、実質無借金経営を実現。8期ぶりの復配も決定しました。

カーブスホールディングス——全項目で過去最高

2026年8月期第3四半期累計で、売上高315.7億円(前年同期比13.8%増)、営業利益61.5億円(同22.0%増)。全項目で過去最高を更新しています。

主力の女性向けカーブスは店舗数2,001店、国内会員数89.0万人。会員の年齢層としてはシニア層の増加が寄与していると説明されており、これは他業態と明確に異なる特徴です。

同社は複数ブランド戦略をとっており、男性向けの「メンズ・カーブス」が37店、新業態の「からだ動き回復センター ピント・アップ」が45店まで拡大しています。主力業態は既存店の成長を軸に、新業態で店舗数を伸ばすという構図です。

加盟店は366社、インストラクターは7,000名強。こちらもフランチャイズが店舗網の中心にある業態です。

Fast Fitness Japan——好調のまま株式市場を去った

エニタイムフィットネスを運営する同社は、2026年3月期第3四半期累計で売上高153.9億円(前年同期比15.8%増)、営業利益33.0億円(同35.2%増)。

店舗数と会員数の推移が、この業態の健全さを示しています。

指標 数値 前年同月比
国内店舗数 1,235店 +62店
国内会員数 108.9万人 +15.2万人
1店舗当たり会員数 882名 +84名

出典:Fast Fitness Japan 2026年3月期第3四半期決算短信

ここで重要なのは1店舗当たりの会員数が増えていることです。店舗を増やせば1店舗あたりの会員数は薄まるのが普通ですが、同社では店舗数と1店舗当たり会員数が同時に増えています。既存店の集客が落ちていない証拠です。

そして同社は、2026年4月20日をもって東京証券取引所プライム市場を上場廃止となりました。業績不振によるものではありません。経営陣による買収(MBO)を経て非公開化する選択をしたのです。前期にあたる2025年3月期は売上180.1億円・純利益20.3億円、自己資本比率63.4%という健全な財務内容でした。

好調な会社が、あえて株式市場の外へ出た。これも業界再編のひとつの形です。

ルネサンス——減損30.5億円と「脱スポーツクラブ依存」

総合型の状況は、対照的です。

ルネサンスの2026年3月期は、売上高649.3億円(前期比1.9%増)と微増だったものの、営業利益15.7億円(同19.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失21.1億円(前期は純利益7.7億円)。

この赤字の主因は、固定資産の減損損失30.6億円です。都心立地のスポーツクラブの退店を決定し、収益性の改善が見込みにくい施設について損失を計上しました。自己資本比率は前期末の21.8%から17.0%へ低下しています。

同社はこの結果を受けて、2024年に策定したばかりの中期経営計画を見直し、新たに「2026-2030中期経営計画」を策定しました。その方向性が示唆的です。介護リハビリ事業とホームフィットネス事業への投資を強め、スポーツクラブへの依存から脱するという戦略です。

実際、同社は2025年12月に介護事業を手がける企業を子会社化しています。また2025年4月には、同じく総合型を運営していたスポーツオアシスを吸収合併しました。総合型どうしの統合が起きているわけです。

セントラルスポーツ——257店のうち70店が「業務受託」

もう1社の総合型、セントラルスポーツの2026年3月期第1四半期は、売上高114.4億円(前年同期比3.3%増)に対し、経常利益1.1億円(同36.6%減)、純利益5,300万円(同93.1%減)。原材料高騰による売上原価の増加が利益を圧迫したと説明されています。

同社の店舗構成には、総合型の生存戦略が表れています。直営187店舗に対し、業務受託が70店舗。この業務受託の内訳は、民間スポーツ施設14店舗と公共スポーツ施設56店舗です。

公共施設の運営受託とは、自治体が保有する体育館やプールの管理を代行する事業です。自前で施設を建てるのではなく、すでにある公共の箱を運営するノウハウで稼ぐ形といえます。

総合型が新規開業11施設まで落ち込んでいるなかで、既存企業がどう事業を続けているのか。その答えのひとつがここにあります。

第5幕:各社が語る「これから10年」

ここからは未来の話になります。ただし予測ではありません。各社が投資家向けに公表している計画をそのまま並べます。上場企業が説明会で述べた数字は、達成義務こそないものの、根拠なしに口にできるものでもありません。

chocoZAP——8,000店舗、会員400万人、参加率20%

RIZAPグループが掲げる目標は、他社と比べても突出しています。

  • 国内店舗数8,000店舗(現在約1,900店舗)
  • 会員数400万人(現在100万人超)
  • 日本のフィットネス参加率を4.5%から20%へ

2027年3月期には新規出店を再開し、国内最大650店舗・海外最大150店舗の計800店舗を計画。あわせて既存1,900店舗の全店リニューアルを実施し、投資総額は150億円を超えると説明されています。

この計画で興味深いのは、出店余地の考え方です。同社は当初、1平方キロメートル当たり人口5,000人を出店の目安と想定していました。ところが実際には、その100分の1にあたる1平方キロメートル当たり48人という過疎地域でも出店し、成功したと説明しています。「コンビニエンスストアでも出店が難しい地域」という表現も使われています。

さらに、女性専用chocoZAPを最大300店舗展開する計画も示されました。背景として挙げられているのは、20代から40代の女性の運動習慣者割合が16.4%にとどまるという国の統計です。

海外展開も進んでいます。香港では2026年5月末時点で19店舗。同社の説明によれば、香港の店舗は日本より広く投資額も約2倍ですが、会員数は1.4倍、客単価は1.8倍、1店舗当たりの収益力は日本の2.5倍とされています。香港のフィットネス参加率は5.8%で日本と同程度、出店ポテンシャルは500店舗以上と見込んでいます。

カーブス——2030年に2,600店舗、2035年に営業利益200億円

カーブスホールディングスの中期ビジョンは次のとおりです。

  • 2030年8月期:店舗数2,600店舗、会員数120万人、売上560億円、営業利益103億円
  • 2035年8月期:営業利益200億円、3業態合計で会員数150万人

内訳としては、女性向けカーブスの既存店で20万人以上の会員増を図って100万人超へ。メンズ・カーブスは2030年に180店、新業態のピント・アップは同380店を計画しています。

主力業態は既存店の深掘り、成長は新業態で取るという組み立てです。店舗数を一気に増やすのではなく、1店舗当たりの付加価値と生産性を上げる方向を明示しています。

エニタイム——1,400店舗を目標に、市場の外で

Fast Fitness Japanは上場廃止前の中期経営計画で、中期的に1,400店舗を目指すと公表していました。現在1,235店舗ですから、あと165店舗ほどです。同業他社のM&Aによる店舗数拡大も検討対象に挙げられていました。

加えて、海外事業(ドイツ・シンガポール)、新ブランド「The Bar Method」、EC・物販という3つの新領域への投資を進めています。

これらの計画が非公開化後にどう進むかは、外部からは見えにくくなります。ただし上場廃止の理由が業績不振ではないことは、直前の決算が示しています。

ルネサンス——スポーツクラブ以外に軸足を移す

ルネサンスの「2026-2030中期経営計画」は、他4社とまったく方向が違います。スポーツクラブ事業の拡大ではなく、依存からの脱却が主題です。

具体的には、介護リハビリ事業とホームフィットネス事業への投資。前者は高齢者向けのデイサービスやリハビリ施設、後者は自宅で運動するためのサービスです。

これは撤退ではなく転換と読むべきでしょう。総合型が長年培ってきた「運動を指導するノウハウ」と「有資格者の雇用」という資産を、施設ビジネス以外に振り向けるという判断です。プールとサウナを維持する固定費からは逃れつつ、人的資産は活かす。

5社に共通する前提と、その危うさ

ここまで見てきた計画には、ひとつ共通する前提があります。日本のフィットネス参加率が今後上がる、という想定です。

chocoZAPは20%を目標に掲げ、カーブスはシニア層の取り込みを進め、エニタイムは全国プロモーションで認知を広げてきました。いずれも「まだジムに通っていない95%」を取りにいく戦略です。

ただし、この前提が実現する保証はどこにもありません。日本の参加率は長年4〜5%で推移してきました。この数字が動かなかったからこそ、各業態は限られたパイのなかで機能を切り出し、価格を下げ、立地を変えて競争してきたともいえます。

参加率が上がらないまま店舗数だけが増えれば、起きるのは1店舗当たり会員数の低下です。開業を検討する立場からは、「市場が伸びる」という各社の前提を鵜呑みにせず、自分が出そうとしている商圏で実際に会員が集まるのかを個別に確かめる必要があります。

5種類の比較——ジム開業の観点から

ここまでの内容を、開業を検討する立場から整理します。

業態 施設数 新規開業 必要床面積の目安 主な運営形態
24時間型 5,034 513(40.5%) 中〜大 フランチャイズ中心
パーソナル型 2,368 278(22.0%) 個人・フランチャイズ
小規模型 2,156 43(3.4%) フランチャイズ中心
ヨガ型 1,877 348(27.5%) 小〜中 直営・フランチャイズ
総合型 1,240 11(0.9%) 特大 企業直営

施設数・新規開業は矢野経済研究所(2025年8月時点)。運営形態は各社公表資料よりコーチム整理

この表から読み取れることを、いくつか挙げます。

総合型は、現実的な選択肢から外れています。新規開業11施設という数字は、この業態が新たに作られていないことを示しています。上場2社の決算を見ても、拡大ではなく再編と転換の局面にあります。

24時間型は最大勢力ですが、すでに寡占が進んでいます。エニタイムが1,235店、chocoZAPが約2,000店。業態全体5,034施設のうち、この2ブランドで3分の2近くを占めます。参入するならフランチャイズ加盟が現実的な入口になります。

ヨガ型は新規開業の勢いが目立ちます。既存1,877施設に対し年間348施設の新規開業。比率でいえば5業態で最も高い伸び方です。

パーソナル型は分散しています。2,368施設に対して支配的なブランドがなく、個人開業とフランチャイズの両方の道があります。ただし収益がトレーナーの質と稼働率に依存するという固有の難しさがあります。

小規模型は新規開業が43施設と少ないですが、これは衰退を意味しません。カーブスホールディングスの決算が示すとおり、この業態は既存店の会員数を増やす方向で成長しています。新規出店に依存しない成長モデルです。

種類ごとに、どのブランドがどれだけ占めているか

ジム業態別の主要ブランドシェア。小規模型はカーブス1社で93.5%(2,015店/2,156施設)、24時間型はchocoZAPとエニタイムで66.1%(3,326店/5,034施設)、パーソナル型は主要8ブランド計34.2%(810店/2,368施設)、ヨガ型はLAVA1社で24.4%(458店/1,877施設)。出典:コーチム調べ2026年8月

矢野経済研究所の集計は業態別の施設数までで、そのなかで各ブランドが何店を占めるかは公表されていません。そこでコーチムでは、各社の公表資料および公式サイトの店舗一覧をもとに、主要ブランドの店舗数を集計しました。

業態(施設数) ブランド 店舗数 業態内シェア
24時間型(5,034) chocoZAP 2,018 40.1%
エニタイムフィットネス 1,308 26.0%
上位2ブランド計 3,326 66.1%
小規模型(2,156) カーブス 2,015 93.5%
ヨガ型(1,877) LAVA 458 24.4%
総合型(1,240) ルネサンス 143 11.5%
パーソナル型(2,368) 主要8ブランド計 810 34.2%

出典:コーチム調べ(2026年8月)。各社公式サイトの店舗一覧より集計。分母の施設数は矢野経済研究所(2025年8月時点)

この表が示すのは、業態によって集中度がまったく違うという事実です。

小規模型は、ほぼカーブス1社です。業態全体2,156施設のうちカーブスが2,015店。シェア93.5%。この業態に参入するということは、実質的にカーブスのフランチャイズに加盟するか、カーブスと同じ土俵で戦うかのどちらかを意味します。

24時間型は、上位2ブランドで3分の2です。chocoZAPとエニタイムフィットネスで3,326店、シェア66.1%。残りの3分の1に、他のブランドと独立系が入っています。すでに寡占が進んだ市場です。

逆にパーソナル型は分散しています。主要8ブランドを合計しても810店、シェア34.2%。残りの3分の2は、中小のブランドと個人経営の店です。支配的なブランドが存在しない業態だといえます。

ヨガ型も分散型です。LAVAが458店で24.4%。カルドをはじめ複数のブランドがあり、個人経営のスタジオも多数存在します。

この集中度の違いは、開業を考えるうえで直接的な意味を持ちます。寡占が進んだ業態では、独自ブランドで参入する余地が小さくなります。逆に分散している業態では、独立開業の道が残っています。

利用者から見た5種類の違い

ここまでは供給側の話でした。開業を考えるなら、利用者がこの5つをどう使い分けているかも押さえておく必要があります。

業態 1回の滞在時間 主な利用目的 スタッフの関与
総合型 長い(数時間) 泳ぐ・走る・風呂・家族利用 常時複数名が常駐
24時間型 中(1時間前後) 筋トレ・有酸素運動 時間帯により不在
小規模型 短い(30分) 健康維持・体力づくり 常時サポート
ヨガ型 中(レッスン単位) 柔軟性・リラックス・発汗 インストラクターが指導
パーソナル型 中(1回のセッション) 減量・体づくり 1対1で専属

出典:各社公表情報よりコーチム整理(2026年8月)

この表で注目したいのは、スタッフの関与のあり方が業態を分けていることです。

総合型は常時複数名が常駐します。プールに監視員が要り、スタジオにインストラクターが要るからです。パーソナル型は1対1でつきっきり。小規模型も常時サポートがあります。

対して24時間型は、時間帯によってスタッフがいません。そしてchocoZAPに至っては、基本的に無人で運営されています。24時間型の運営実態はエニタイムフィットネスの口コミ・評判で、1,235店の内訳とともに扱っています。

この「人の関与の度合い」が、そのまま月会費の差になっています。人が多く関わるほど高く、関わらないほど安い。総合型が月1万円前後、パーソナルが月数万円から十数万円、24時間型が月7,000円前後、chocoZAPが月数千円という価格帯は、この構造から説明できます。

開業を検討する立場からは、これは自分が何を売るのかという問いに直結します。設備を貸すのか、指導を売るのか、場所と時間の自由を売るのか。業態を選ぶとは、この問いに答えることでもあります。

ジム開業の現実|市場の半分が赤字

ここで、序盤に触れた数字に戻ります。帝国データバンクの調査によれば、フィットネス市場の黒字企業は48.8%。半数以上が黒字を出せていません。

市場規模7,100億円は過去最高水準です。それでも半数が赤字だという事実は、この市場の性質を表しています。

理由として考えられるのは、この市場が固定費型のビジネスだということです。家賃、設備の減価償却、人件費。会員数が損益分岐点を超えるまでは赤字が続き、超えたあとは利益が急に伸びる。中間がありません。

chocoZAPが2023年3月期に49億円の営業損失を出しながら、2026年3月期に111億円の営業利益を出したのは、この構造の典型です。損益分岐点を超えるまでは投資が先行し、超えたあとは一気に回収される。

ルネサンスが都心店の退店で30.6億円の減損を計上したのも、同じ構造の裏側です。会員数が損益分岐点に届かない施設は、時間が経っても改善しません。だから閉めるという判断になります。

開業を検討する立場からは、この点がもっとも重要かもしれません。「何人集まれば黒字になるのか」を先に把握し、その人数が自分の商圏で現実的かを確かめる。業態選択の実務は、そこから始まります。

これからジムを開業する人が、次に確かめるべきこと

この記事は業態の地図です。地図を見たあと、実際に進む道を決めるには、さらに調べるべきことがあります。開業を検討する立場から、次の3つを挙げます。

1. その種類を、個人開業でやるのかフランチャイズでやるのか

本文で触れたとおり、業態によって主流の運営形態が違います。

24時間型と小規模型は、フランチャイズが店舗網の中心です。エニタイムフィットネスは国内1,235店のうち1,036店が加盟店。カーブスは加盟店366社。この業態に入るということは、実質的に加盟を意味します。

一方、パーソナル型とヨガ型には独立開業の道が残っています。支配的なブランドが存在せず、個人経営の店が多数あるためです。

ただし独立には、集客を自力で行う負担がついてきます。ブランドの認知度がゼロの状態から会員を集めるのか、加盟金とロイヤリティを払って看板を借りるのか。これは業態選択とは別の、独立した判断です。

2. ジム開業後の損益分岐点となる会員数

前章で触れたとおり、この市場は固定費型です。何人集まれば黒字になるのかを先に把握しなければ、事業計画が立ちません。

参考になる数字として、エニタイムフィットネスの1店舗当たり会員数は882名です(2026年3月期第3四半期時点)。これは黒字水準の店舗が並んだ結果の平均値であり、損益分岐点そのものではありませんが、この業態がどの程度の会員規模で回っているかの目安にはなります。

業態によってこの数字はまったく違います。月会費が高いパーソナル型なら少ない人数で成立し、月数千円のコンビニジムなら多くの会員が必要です。単価と必要人数はトレードオフの関係にあります。

3. 開業予定の場所に、その人数がいるか

各社の出店計画は、日本のフィットネス参加率が今後上がるという前提に立っています。しかしその前提が崩れた場合、影響を受けるのは本部ではなく個々の店舗です。

新規開業の68.4%が駅前型だというデータは、裏を返せば駅前の物件をめぐる競合が激しくなっていることも意味します。

一方でchocoZAPは、1平方キロメートル当たり48人という過疎地域でも成立したと説明しています。これは低価格・無人という同社固有の構造があって初めて成り立つ話であり、他業態にそのまま当てはまるものではありません。自分が選ぼうとしている業態の単価と必要会員数を、実際の商圏人口に照らして確かめる必要があります。

この3点については、続編で扱う予定です。本記事はあくまで、その手前にある「どんな選択肢があるのか」を整理したものです。

まとめ|ジム開業でどの種類を選ぶか

日本のジム市場を、時間軸で振り返ります。

かつてジムは「施設」でした。プールとスタジオと風呂を備えた総合型が唯一の形式で、作れるのは資本を持つ企業だけでした。

やがてその機能がひとつずつ切り出されます。ヨガだけ、マシンだけ、女性向けの軽い運動だけ、トレーナーの指導だけ。切り出したことで床面積と初期投資が下がり、個人でも開業できる業種になりました。この転換がフランチャイズ展開の土台になります。

そしてchocoZAPが、分解された機能を無人化・セルフ化によって再統合し、価格を3分の1以下に下げました。同時期にパーソナルジムもフランチャイズで増えています。

2026年現在、この流れの結果が決算に表れています。24時間型・小規模型・コンビニジムは増収増益。総合型は減損と事業転換。同じ市場のなかで、業態によって結果が正反対に分かれています。

そして各社は、日本のフィットネス参加率が上がることを前提に、次の10年の計画を組んでいます。この前提が正しいかどうかは、まだ誰にも分かりません。

この記事の限界

最後に、この記事で扱えていないことを明示します。

収益性の比較はしていません。初期投資額、月次の固定費、損益分岐点となる会員数、投資回収期間。これらは業態選択の決め手になる要素ですが、本記事では扱っていません。理由は、これらが業態内でもブランドや立地によって大きく変わり、平均値で語ると誤解を招くためです。

個人開業とフランチャイズの比較もしていません。同じ業態でも、自分のブランドで始めるのか加盟するのかで、必要資金も自由度もまったく変わります。

施設数の統計には集計時点のずれがあります。矢野経済研究所の集計は2025年8月時点、各社の決算数値は2026年時点のものです。両者を並べる際にはこの差を考慮する必要があります。

ブランド別店舗数は、各社の公表値および公式サイト掲載の店舗一覧に基づく集計です。集計時点は2026年8月です。オープン準備中の店舗を含むか否かなど、各社の公表基準は統一されていません。

データの引用について

本記事に掲載した数値およびコーチム独自の集計結果は、出典を明記いただければ引用いただけます。

引用の際は、次の形式をご利用ください。

日本のジムは業態別に5種類に分かれており、施設数は24時間型5,034、パーソナル型2,368、小規模型2,156、ヨガ型1,877、総合型1,240の計13,876施設(出典:矢野経済研究所/コーチム調べ)

2024年9月からの1年間の新規開業1,266施設のうち、総合型はわずか11施設(0.9%)にとどまる(出典:矢野経済研究所/コーチム調べ)

2026年の決算では、24時間型・小規模型・コンビニジムが増収増益となる一方、総合型は減損計上と事業転換の局面にある(出典:コーチム調べ・各社決算短信より)

図版についても、出典を記載のうえご利用いただけます。数値の解釈や見通しについては、各社の公表資料を直接ご確認いただくことをお勧めします。

編集後記

この記事を書くにあたって、5社の決算資料を読み込みました。もっとも印象に残ったのは、各社が語る言葉の温度差です。

ある社は「社会インフラになる」と語り、別の社は「依存から脱する」と語っている。同じ日本のジム市場について、同じ年に、これだけ違う言葉が出てくる。数字以上に、この差が業態の現在地を表しているように思えました。

ジムを開こうと考えている方へ。業態を選ぶという行為は、単に「何を売るか」を決めることではありません。どういう構造の商売に自分を置くかを決めることです。設備が重いのか軽いのか、人が要るのか要らないのか、単価が高いのか安いのか。それによって、日々やることも、悩むことも、まったく変わります。

この記事が、その最初の一歩の材料になれば幸いです。

コーチム編集長 木村涼
フィットネスジム4社で挫折した後、自己流のダイエットで3ヶ月10kg減。その後パーソナルトレーニングの指導を受けさらに5kg減を達成。NSCA-CPT取得。特定のジムと金銭的な利害関係を持たない立場から、比較記事を書いています。

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この記事を書いた人

コーチム編集長。複数の大手フィットネスジムで挫折後、自己流(通勤運動・自重トレ・AI食事管理)で3ヶ月10kg減量を達成。さらにパーソナルトレーニングの指導で追加5kg減を実現し、専門指導の価値を実感。NSCA-CPT取得。特定のジムと利害関係を持たず、「続けられるパーソナルジム選び」をテーマに中立的な立場で発信。

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