chocoZAPの500m以内にchocoZAPができた回数は、234回

目次

この3年で、ジムの業界がひっくり返った

小さいジムが、次々に潰れています。

東京商工リサーチの調べでは、2023年度のフィットネスクラブの倒産は、2月までで28件。前の年度は16件でした。1年で12件増えています。1998年に統計を取りはじめてから、いちばん多い数字です。

28件の内訳を見ると、もっとはっきりします。

全部が、資本金1億円未満の小さい会社でした。そして原因の7割が「販売不振」。つまり、お客さんが来なかった、ということです。

おかしくないですか。健康ブームは終わっていません。市場そのものは過去最高を更新し続けています。

市場は伸びている。なのに、小さいジムだけが死んでいる。

倒産はその後も止まっていません。帝国データバンクの2025年度上半期の集計でも、娯楽業の倒産が増えたなかで、フィットネスクラブの増加が目立った、と報告されています。

ライザップの猛攻

では、その入れ替わりに何が来たのか。

chocoZAPです。

数字を並べます。

  • 2022年7月、77軒
  • 2023年3月末、479軒
  • 2023年の1年間で、1,009軒オープン
  • 2024年3月期は、月およそ75軒のペース
  • そして今、2,018軒。全47都道府県。会員100万人超

2023年の1,009軒というのは、3日で8軒開けていたということです。土日も正月も関係なく、です。日本のフィットネスの歴史で、こんな増え方をしたブランドはありません。

いちばん効いたのは、ここです

パーソナルジムというものを日本に定着させたのは、RIZAPでした。

2ヶ月30万円台。マンツーマン。結果にコミットする。あのCMを見て、この10年で全国に何千軒ものパーソナルジムができました。市場を作ったのはRIZAPです。

そのRIZAPが、月2,980円のセルフ型ジムに主力を移しました。

単価は、100分の1近くになります。

自分が作った市場に、自分で殴り込んだ。しかも、いちばん安い値段で。

そして、勝ちました

2026年3月期、RIZAPグループの営業利益は111億円。前の年の6倍です。

そして、chocoZAP事業だけで、グループの営業利益の50%を超えました。

コーチムの調べでは、日本のパーソナルジムの市場は、およそ450億円です。一方chocoZAPは、会員数だけで100万人を超えています。

高い金額を、少ない人からもらう商売。
安い金額を、大勢からもらう商売。

この乗り換えを、パーソナルジムの本家が、自分の手でやってのけた。これがこの3年に起きたことです。

この記事で「セルフ型ジム」と呼ぶもの

chocoZAPのようなジムを、この記事では「セルフ型ジム」と呼びます。特徴はこうです。

  • 月2,980円など、とにかく安い
  • スタッフがいない。入るのも辞めるのもアプリで済む
  • 着替えなくていい。5分だけ寄って帰ってもいい
  • ジム以外のもの(セルフエステ、脱毛、ネイルなど)も使える
  • 1軒が小さい。だから、どこにでも出せる

最後の1行を覚えておいてください。この記事は、そこから始まる話です。

その結果、いま何が起きているか

2025年5月、chocoZAPがフランチャイズの加盟募集を始めました。

2,000万円。契約7年。法人のみ。

問い合わせは殺到しました。RIZAPの発表では、2026年1月末までに1,682件。46の法人が84店舗分の加盟意向を出し、うち32店舗がすでに動いています。

当然です。無人で回るジムが儲かるというのは、いまや業界の共通認識です。エニタイムフィットネスですら、公式のフランチャイズ募集ページに「コアタイム以外は無人運営、営業利益30%も」と書いています。

ここまでが、明るい話です。

ここからが、この記事の本題です。

結果

コーチムは、chocoZAP全2,018軒の場所と、開いた日を全部集めました。そして、どのジムとどのジムが何メートル離れているかを、1軒ずつ計算しました。

出てきたのが、この数字です。

chocoZAPは、すでに自分のジムがある場所から500m以内に、あとから234軒を開いていました。

いちばん近い例は、29m

そして今、この2,018軒を8,000軒にする計画が動いています。今の4倍。新しく開くジムの半分は、本部の直営です。

近くに出さないという約束があるかどうかは、公式サイトにも、フランチャイズ募集ページにも、どこにも書かれていません。

この調査について:2026年7月17日に、chocoZAPとエニタイムフィットネスの公式サイトから、全ジムの名前・住所・場所・開いた日を集めました。調べたのはchocoZAPが2,013軒、エニタイムフィットネスが1,308軒です。調べ方と、この調査でわからないことは、記事の最後で詳しく説明しています。

29m、89日後

福岡県北九州市に、小倉足原というchocoZAPがあります。2024年2月3日にオープンしました。

その89日後のことです。

29m先に、足原一丁目という別のchocoZAPが開きました。

29mです。同じ建物の並びです。歩いて20秒かかりません。看板は同じ。料金も同じ2,980円。マシンも同じ。

そして、これは特別な例ではありません。

あとから開いたジム 開いた日 距離 先にあったジム 間隔
足原一丁目(福岡県) 2024-05-02 29m 小倉足原 89日
尼崎塚口(兵庫県) 2024-02-08 36m 塚口三丁目 59日
横浜黄金町(神奈川県) 2024-09-24 95m 横浜初音町 405日
日野駅前(東京都) 2024-09-25 96m 日野 465日
名駅南一丁目(愛知県) 2023-11-10 100m 名駅南 429日
中河原住吉(東京都) 2024-11-17 108m 中河原 807日
横浜久保町(神奈川県) 2024-01-16 109m 西横浜南口 35日
泉尾四丁目(大阪府) 2024-02-01 127m 泉尾 308日
板宿東口(兵庫県) 2024-02-12 132m 板宿新町通 286日
平野北(大阪府) 2023-01-28 135m 平野宮町 2日
先にあったジムのすぐ近くに、あとから開いた例(コーチム編集部調査)

兵庫の尼崎塚口は、36m先の塚口三丁目が開いた59日後。

大阪の平野北にいたっては、135m先の平野宮町が開いた2日後です。

2日です。ほぼ同時と言っていい。

通っている人は、とっくに気づいています

コーチムが東京の杉並区と中野区のchocoZAPのクチコミを調べたところ、利用者はこの状況をはっきり見抜いていました。

中野南台のジムには、こんな内容のクチコミがありました。

本町のジムから、一直線の道沿いにある。広さは本町の半分ほど。本町は混んでいるが、ここは開いたばかりで空いている。だから本町が混んでいるときは、こっちを使うつもりだ。

同じブランドの2軒を、混み具合で使い分けている。

浜田山のジムには、こういう声もありました。近くに新しいジムができたので入会した。器具が充実している西永福と使い分けていて、腕と腹は西永福、脚は浜田山。

永福3丁目と浜田山の距離は、340mです。

通う人にとっては、便利な話です。問題は、その2軒がそれぞれ2,000万円を出した、別々のオーナーのものだった場合です。

これは、普通なのか

29mと言われても、それが業界として普通なのかどうかが分からなければ、判断できません。

そこで、エニタイムフィットネスと比べました。

エニタイムは、日本で最初に24時間ジムを始めたブランドです。国内に1,300軒近く。chocoZAPと同じく、小さい店を狭いエリアに出していくやり方です。比べる相手として、これ以上のブランドはありません。

chocoZAPとエニタイムフィットネスの、いちばん近い同じブランドのジムまでの距離の比較
図1|いちばん近い同じブランドのジムまでの距離(コーチム編集部調査)
chocoZAP(2,013軒) エニタイム(1,308軒)
いちばん近いジムまでの距離 970m 1,962m
いちばん近かった例 29m 77m
300m以内に別のジムがある 8.6%(174軒) 1.1%(15軒)
500m以内に別のジムがある 22.1%(444軒) 3.7%(48軒)
800m以内に別のジムがある 41.2% 13.3%
1km以内に別のジムがある 51.5% 19.9%
「いちばん近いジムまでの距離」は真ん中の値(半分のジムが、これより近い)

いちばん近いジムまでの距離は、chocoZAPが970m、エニタイムが1,962m。

ちょうど倍です。

半径500m以内に別のジムがあるのは、chocoZAPが5軒に1軒。エニタイムは27軒に1軒

「数が多いんだから当たり前だろ」への答え

当然の反論があります。

chocoZAPは2,013軒、エニタイムは1,308軒。数が多いんだから、近くなって当たり前じゃないか。

そのとおりです。だから、確かめました。

chocoZAPの2,013軒から、1,308軒だけをくじ引きで抜き出します。エニタイムと同じ数にするためです。その1,308軒で、同じ計算をやり直す。これを100回くり返して、平均を取りました。

chocoZAP
(1,308軒に減らして100回計算)
エニタイム
(1,308軒)
いちばん近いジムまでの距離 1,228m 1,962m
500m以内に別のジムがある 15.3% 3.7%

数を同じにしても、15.3%と3.7%。

4倍の差が、残りました。

500mという線引きが、たまたま都合がよかったわけでもありません。

上の表をもう一度見てください。300mでも、500mでも、800mでも、1kmでも、すべてchocoZAPが上です。どこで区切っても、結果は変わりません。

大阪、110軒、ゼロ

全国の平均では実感が湧きません。地域で見ます。

chocoZAPのジムが多い上位10の都道府県で、両方を並べました。

都道府県別、半径500m以内に同じブランドの別のジムがある割合
図2|都道府県別・半径500m以内に別のジムがある割合(コーチム編集部調査)

図はchocoZAPのジムが多い順に4つだけを取り出したものです。10都道府県すべての数字は、下の表にあります。

都道府県 chocoZAP エニタイムフィットネス
東京都 400軒・35.2% 300軒・11.0%
大阪府 252軒・37.3% 110軒・0.0%
神奈川県 177軒・21.5% 131軒・5.3%
愛知県 142軒・14.1% 59軒・0.0%
福岡県 118軒・19.5% 73軒・5.5%
兵庫県 114軒・26.3% 49軒・0.0%
埼玉県 104軒・18.3% 85軒・0.0%
千葉県 95軒・12.6% 87軒・4.6%
広島県 67軒・25.4% 22軒・0.0%
京都府 54軒・16.7% 30軒・0.0%
数字は、半径500m以内に同じブランドの別のジムがあるジムの割合

大阪を見てください。

エニタイムは、大阪に110軒あります。

そのうち、500m以内に別のエニタイムがあるジムは、1軒もありません。

ゼロです。いちばん近い2軒でも、529m離れています。

同じ大阪で、chocoZAPは252軒のうち94軒。37.3%。

ゼロなのは大阪だけではありません。上位10県のうち、6県でエニタイムはゼロでした。大阪、愛知、兵庫、埼玉、広島、京都。兵庫では、いちばん近い2軒でも1,193m。広島では1,271m。

110軒あって1軒もない。これは偶然では起きません。わざと離しています。

なぜエニタイムがそうするのかは、あとで説明します。

234軒

ここまでは「今の状態」の話でした。

でも、加盟を考えている人が本当に知りたいのは、これでしょう。

自分がジムを出したあとに、近くに新しいジムができるのか。

chocoZAPの公式データには、全ジムの開いた日が入っています。だから、こういう計算ができます。

それぞれのジムが開いた時点で、すでにどれくらい近くに別のchocoZAPがあったか。

2,013軒すべてについて、計算しました。

開いた時点で、先にあったジムまでの距離 そのジムの数
200m以内 30軒(1.5%)
300m以内 88軒(4.4%)
500m以内 234軒(11.6%)
800m以内 478軒(23.8%)
1km以内 632軒(31.4%)
すでに別のchocoZAPがある場所に、あとから開いたジムの数(コーチム編集部調査)

500m以内に、あとから234軒

300m以内にも88軒。200m以内でも30軒あります。

そして、ここが効きます。

234軒のうち143軒、つまり61%は、先にあったジムが開いてから1年以内に開いています。

間隔の真ん中の値は300日。いちばん短いのは1日。

場所は都市部に集中しています。東京都75軒、大阪府50軒、神奈川県21軒、兵庫県15軒、愛知県11軒、福岡県11軒。

そして、時期でくっきり変わります

chocoZAPが開いた年別、先にあったジムから500m以内で開いた割合
図3|開いた年別・先にあったジムから500m以内で開いた割合(コーチム編集部調査)
その年に開いたジムの数 先にあったジムまでの距離 500m以内で開いた割合
2022年 215軒 2,930m 1.9%
2023年 1,009軒 1,737m 9.2%
2024年 549軒 1,101m 18.4%
2025年 57軒 1,868m 8.8%
2026年(7月まで) 182軒 1,300m 17.0%

2022年は1.9%。まだジムが少なくて、近くに別のchocoZAPがある状態で開くこと自体が、めったに起きなかった。

2023年に9.2%。

2024年、18.4%。

その年に開いた549軒のうち、100軒以上が、すでに500m以内に別のchocoZAPがある場所での開業でした。

そして2025年、出店が57軒まで落ちます。前の年の549軒から、10分の1。7月から9月にいたっては、たった5軒でした。

この落ち込みには、理由があります。

RIZAPの瀬戸健社長は、2026年5月14日の決算説明会でこう言っています。「新規出店を1年半停止していました」

会員数も、2025年5月の135万人から、同じ年の11月には110.5万人まで減っていました。25万人です。出店を止めて、すでにあるジムの品質を立て直すことに集中していた時期でした。

コーチムが公式データから計算した出店の谷と、RIZAPが説明する停止期間は、ぴったり一致します。この調査の数字が、公式の説明と食い違っていないことの証明にもなっています。

そして2026年。会員数は116.1万人まで戻りました。出店は7月までで182軒。

500m以内で開いた割合は、17.0%。

2024年の水準に、戻っています。

なぜ、こうなるのか

ここまでの数字は、chocoZAPが何かを隠していた、という話ではありません。

RIZAPは、自分で言っています。

毎月自動で入る会費。身軽なフランチャイズ展開。そして狭いエリアにジムを固めて出すやり方。この3つの組み合わせで、19%前後の利益率を実現した——RIZAPはそう説明しています。決算説明会の資料には「出店余地の証明」という項目まであり、日本にはまだジムを出す余地があると、投資家に向けて主張しています。

つまり、29mも234軒も、公表されているやり方が実際にどう出たか、という結果です。

失敗ではありません。狙いどおりです。

狭いエリアに固めて出すことには、本部にとっての合理性があります。

  • 広告が効く。同じエリアに5軒あれば、1回の広告で5軒分の集客ができる
  • 配送や巡回の手間が減る
  • そのエリアの知名度が一気に上がる
  • ライバルが入る隙間が消える

コンビニがやってきたことと同じです。本部にとっては、100%正しい。

問題は、その正しさが誰のものか、ということだけです。

本部にとって正しい出店が、すでにそこでジムを開いている加盟店にとっても正しいとは限りません。

隣にできたジムは、何か違うのか

近くに2軒あっても、中身が違えば話は変わります。

片方はマシンが充実、片方は最低限。そう分かれていれば、お客さんの取り合いにはなりにくい。

そこで、マシンの台数と、いちばん近いジムまでの距離の関係を調べました。chocoZAPの公式データには、ジムごとのマシンの台数が入っています。

いちばん近いジムまでの距離 ジムの数 マシンの台数
〜300m 171軒 11台
300〜500m 264軒 11台
500〜800m 378軒 11台
800m〜1km 205軒 12台
1〜2km 517軒 11台
2km以上 427軒 12台
マシンの台数は真ん中の値(コーチム編集部調査)

結果は、これです。

近くにあるジムも、遠くにあるジムも、マシンの数は同じでした。

300m以内に別のジムがある場所でも、2km以上離れた場所でも、11台か12台。距離との関係を数字で見ても、ほぼゼロです。

これは、中野のジムに寄せられていたクチコミと一致します。中野に3軒もあるのに、器具はほとんど同じだ——そういう内容の声です。

その感覚は、全国2,013軒のデータで裏付けられました。

近くに2軒。中身は同じ。料金も同じ2,980円。

そうなると、お客さんが2軒を選び分ける理由は、「空いているかどうか」だけになります。

エニタイムは、なぜやらないのか

大阪で110軒あって、500m以内はゼロ。なぜエニタイムはそれができるのか。

答えは、単純です。

ジムの持ち主が、違うからです。

エニタイムを日本で運営しているのは、Fast Fitness Japanという会社です。この会社の決算資料によると、2026年3月期の第2四半期の時点で、国内1,217軒のうち1,036軒がフランチャイズ店

85.1%です。

社長も「8割近くがフランチャイズ」と明言しています。

85%が加盟店だということは、こういうことです。

加盟店のお客さんを奪ったら、本部の収入が減る。

エニタイムの本部の売上は、加盟店から入るロイヤリティが柱です。加盟店の隣に別の店を出してお客さんを取り合わせれば、両方の売上が下がり、両方のロイヤリティが減る。

本部が、自分で自分の首を絞めることになる。だから、やりません。やれません。

この違いは、出店の手順にくっきり出ています。

エニタイムフィットネスとchocoZAPの、フランチャイズ契約と物件決定の順序の比較
図4|フランチャイズ契約と物件決めの順番(両社の公式フランチャイズ募集ページより作成)

エニタイムの手順

物件の候補探し → 賃貸条件の交渉 → 本部による出店承認 → 賃貸借契約 → フランチャイズ契約

chocoZAPの手順

問い合わせ → 初回面談 → 与信審査・オーナー面談 → フランチャイズ契約書 → 物件検索・決定 → 施工・マシン手配 → オープン

順番が、逆です。

エニタイムは、物件が決まって、本部がOKを出してから、契約する。

chocoZAPは、契約してから、物件を探す。

エニタイムは募集ページで、その場所の昼間人口や20〜40代の人口をもとに、成功する出店のパターンをいくつも持っている、と説明しています。開業前の市場調査も本部が手伝う、と。chocoZAP側に、これにあたる説明はありません。

そしてchocoZAPは、いまのところ、ほぼ全部が直営です。フランチャイズとして動いているのは32店舗だけ。

つまり、これまでの2,000軒は「隣に出しても、誰にも文句を言われない」状態で作られてきました。

234軒は、その条件のもとで起きたことです。

これから、4倍になる

ここからが、いま加盟を考えている人にとって、いちばん大事なところです。

RIZAPは、chocoZAPを国内8,000軒にすると公表しています。

今が2,018軒。約4倍です。

直近の計画は、こうです。

  • 2027年3月期に、国内で最大650軒、海外で最大150軒を新しく開く
  • そのうち女性専用を最大300軒
  • 今ある最大1,900軒を全部リニューアル。マシンを2万台規模で増やす
  • 投資は年間150億円超。過去最高の水準
  • 2026年度の出店は、直営50%:フランチャイズ50%

瀬戸社長は決算説明会で、こう言っています。新規出店を1年半止めていたが、今期は過去最高の水準で出店投資を進める、と。

止まっていたものが、今まさに動き出したところです。

そして、直営50%:フランチャイズ50%という数字の意味を、よく見てください。

これから開く650軒のうち、およそ325軒は本部の直営です。

加盟店の隣に来る新しいジムの、半分は本部が自分で開くジムだ、ということになります。

ジムの数が2倍、4倍になれば、500m以内に別のchocoZAPがある状態で開くジムの割合は、さらに上がります。2024年の18.4%は、まだ1,700軒くらいだった時期の数字です。

2,000万円と、7年

ここまでの数字を、加盟の条件と並べます。

項目 chocoZAPフランチャイズの条件
初期費用 2,000万円〜(新規出店・直営店譲渡とも)
契約期間 7年
設備の入れ替え 7年ごと。費用は加盟店の負担
加盟できる人 法人のみ(個人事業主は法人にする必要あり)
chocoZAP公式フランチャイズ募集ページ(2026年7月時点)より

2,000万円を出して、7年間そのジムで商売をする。

7年は、長い時間です。

この記事で見た234軒は、たった3年半のあいだに起きたことです。

その7年のあいだに、自分のジムの29m先に、本部が別のchocoZAPを開くかもしれない。開かないかもしれない。

どちらなのかは、公開されている情報からは、分かりません。

コーチムは、chocoZAPの公式フランチャイズ募集ページと、RIZAPグループの公表資料を全部確認しました。

加盟店のエリアを守る約束についての記述は、見つかりませんでした。

ここは、正確に書きます。

「約束がない」とは言えません。

フランチャイズ契約のエリアに関する取り決めは、法律で決められた説明書類に書かれるものです。募集用のホームページに載らないのが普通です。契約書には書いてあるかもしれません。

この調査で分かったのは、「公開されている情報の範囲では確認できない」という一点だけです。

あるかないかではなく、書いていない。

だから、聞くしかありません。

加盟する前に、本部に聞いておくこと5つ

この記事の数字をもとに、加盟の面談で確認すべきことをまとめます。

  1. 契約したジムの近くに、本部が直営のジムを出すことはありますか
    実際に、500m以内にあとから開いたジムが234軒あります。29mの例もあります
  2. 出さない約束があるなら、それは契約書の何条に書いてありますか
    口で言われた説明ではなく、契約書のどこに書いてあるかを確認してください
  3. 「近く」とは、何メートルのことですか
    500mなのか、300mなのか、100mなのか。数字が出てこないなら、実質的に制限がないのと同じです
  4. 7年の契約のあいだ、その約束は変わりませんか
    8,000軒は今の4倍です。計画が変われば、方針も変わり得ます
  5. 譲ってもらうジムの場合、周りにあとからジムが増える計画はありますか
    直営店の譲渡は32店舗中19店舗と、フランチャイズの主流です。すでに会員がついている分、周りに増えたときの影響も直接受けます

この5つに、はっきりした答えが返ってくるなら。この記事の数字は、気にしなくていい話になります。

返ってこないなら。234軒が自分の身に起きる可能性を、2,000万円の判断に入れる必要があります。

通う人にとっては、どうなのか

ここまでは、加盟を考えている人向けの話でした。通う側から見ると、どうでしょうか。

近くに増えるのは、基本的に便利です。混んでいれば隣に行けばいい。杉並・中野のクチコミでも、実際にそう使っている人がいました。混雑は、たしかに分散しています。

ただし、この記事で見たとおり、近くにできたジムは中身が同じです。マシンは11台か12台。料金も同じ2,980円。

そうなると、2軒を選ぶ理由は「空いているかどうか」だけになります。

ジムが近くにあることは、通いやすさの条件ではあります。でも、それが続く理由になるかというと、別の話です。

コーチムが実施した継続率の調査では、ジムをやめた人の理由は、距離ではないところに集まっていました。ジムの継続率に関する調査と、なぜほとんどの人がダイエットに失敗するのかで、そのあたりを詳しく扱っています。

近ければ続く。それが正しいなら、500m以内に2軒ある人は、誰よりも続いているはずです。

実際には、そうなっていません。

調べ方と、わからないこと

データの集め方

2026年7月17日に、両社の公式サイトから全ジムのデータを集めました。

  • chocoZAP:公式サイトが店舗検索に使っているデータから、全2,018軒の名前・住所・場所・開いた日・マシンの台数・設備を取得しました。公式が公表している総軒数(2,018軒)と、集めた件数は一致しています
  • エニタイムフィットネス:公式サイトの全ジムのページから名前と住所を取得し、それぞれのページに載っている地図から場所を取得しました。集めたのは1,308軒です

距離は、緯度と経度から計算した直線距離です。道のりではありません。

調べたジム

chocoZAPの2,018軒のうち、次の5軒を除いた2,013軒を対象にしました。

  • 施設内の従業員だけが使えるジム3軒(札幌トヨタ、クボタ グローバル技術研究所、湘南アイパーク)。一般の会員が使えないため
  • 高速道路のサービスエリア・パーキングエリアのジム2軒(足柄SA下り、日本平PA上り)。通る人しか使わないので、エリアという考え方が当てはまらないため

女性専用のジム25軒は、対象に入れています。一般のジムに通う女性にとっては、実際に選択肢として競合するためです。2026年7月17日の時点でまだ開いていないジム21軒も、対象に入れています。あとから近くに開く、ということそのものを見る調査なので、外すと最新の例が抜け落ちます。

この調査でわからないこと

つぶれたジムは、数えていません。

今回のデータは「2026年7月の時点であるジム」です。開いたあとに閉めたジムは、公式サイトに残っていないので、集められません。

ですから「2022年に215軒開いた」というのは、正しくは「2022年に開いて、今も残っているジムが215軒ある」という意味です。

これは結果に影響します。近くに開いて、そのあと撤退したジムがあれば、その分だけ、近さの実態は少なく見えているはずです。

つまり、この記事の234軒・11.6%という数字は、実際にはこれより多いはずの、いちばん少なく見積もった数字です。

もうひとつ。エニタイムの1,308軒には、まだ開いていないジムや、閉めたあともページが残っているジムが入っている可能性があります。運営会社が公表している軒数(2025年9月の時点で1,217軒)と出店のペースから計算すると、30〜40軒ほど多い計算になります。

ただし、このズレはエニタイムを実際より近く見せる方向に働きます。「エニタイムのほうが距離を空けている」というこの記事の結論にとっては不利な方向のズレなので、直せば結論はもっと強くなります。

また、この記事はchocoZAPやエニタイムのフランチャイズ契約書の中身を見たものではありません。見たのは、公開されている募集ページと、上場企業として公表されている決算の資料だけです。契約書にエリアを守る条項があるかどうかは、この調査では分かりません。

参照した公表資料

  • chocoZAP公式サイト、chocoZAP公式フランチャイズ募集ページ(2026年7月時点)
  • RIZAPグループ 2026年3月期決算説明会(2026年5月14日)
    https://www.rizapgroup.com/ir/library/meeting
  • RIZAPグループ プレスリリース「chocoZAPフランチャイズ事業進捗」(2026年2月)
  • エニタイムフィットネス公式サイト、公式フランチャイズ募集ページ(2026年7月時点)
  • 株式会社Fast Fitness Japan 2026年3月期第2四半期決算説明資料
    https://www.fastfitnessjapan.jp/ir/presentations/
    ※同社は2026年4月20日に東証プライム市場を上場廃止。リンク先は上場廃止までに公開されていた資料のアーカイブです
  • 東京商工リサーチ「2023年度『フィットネスクラブ』倒産動向調査」(2024年3月)
  • 帝国データバンク「倒産集計 2025年度上半期」(2025年10月)

この記事の数字を使いたい方へ

この調査の数字は、出典を書いていただければ自由に引用できます。図もそのまま使えます。

出典の書き方

コーチム編集部調査「chocoZAP全2,018軒の出店密度調査」(2026年7月)
https://coaching-by-web.com/research/chocozap-store-density-2026/

そのまま使える引用文

  1. コーチム編集部の調査によると、chocoZAPは、すでに自社のジムがある場所から500m以内に、あとから234軒を開いている。もっとも近い例は29mで、先にできたジムから89日後の開業だった。
  2. コーチム編集部が両社の公式データから全ジムの位置を集めて算出したところ、いちばん近い同じブランドのジムまでの距離は、chocoZAPが970m、エニタイムフィットネスが1,962mだった(中央値)。
  3. コーチム編集部の調査では、半径500m以内に同じブランドの別のジムがあるジムの割合は、chocoZAPが22.1%(5軒に1軒)、エニタイムフィットネスが3.7%(27軒に1軒)だった。ジムの数を同じに揃えて比べても、15.3%対3.7%の差が残る。
  4. コーチム編集部の調査によると、大阪府にあるエニタイムフィットネス110軒のうち、半径500m以内に別のエニタイムがあるジムは1軒もない(もっとも近い2軒でも529m)。同じ大阪でchocoZAPは252軒中94軒(37.3%)が該当する。
  5. コーチム編集部の調査では、chocoZAPのジムが多い上位10都道府県のうち6県(大阪・愛知・兵庫・埼玉・広島・京都)で、エニタイムフィットネスは500m以内に別のジムがある例が1軒もなかった。
  6. コーチム編集部の調査によると、chocoZAPが2024年に開いた549軒のうち18.4%は、すでに500m以内に別のchocoZAPがある場所での開業だった。2026年(7月まで)も17.0%と同じ水準に戻っている。
  7. コーチム編集部の調査では、chocoZAPのマシンの台数と、いちばん近いジムまでの距離には関係がなかった。300m以内に別のジムがある場所も、2km以上離れた場所も、マシンは11〜12台で同じだった。
  8. コーチム編集部が両社の公開情報を確認したところ、エニタイムフィットネスは本部の出店承認を得てからフランチャイズ契約を結ぶ手順を公表しているのに対し、chocoZAPはフランチャイズ契約の締結後に物件を探す手順を公表している。加盟店のエリアを守る約束についての記述は、両社とも公開情報の範囲では確認できなかった。
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この記事を書いた人

コーチム編集長。複数の大手フィットネスジムで挫折後、自己流(通勤運動・自重トレ・AI食事管理)で3ヶ月10kg減量を達成。さらにパーソナルトレーニングの指導で追加5kg減を実現し、専門指導の価値を実感。NSCA-CPT取得。特定のジムと利害関係を持たず、「続けられるパーソナルジム選び」をテーマに中立的な立場で発信。

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